文部科学省の委託を受けた教員のメンタルヘルスに関する調査結果(PDF)が10月に公表された。厚生労働省が行った一般企業対象の「労働者健康状況調査(2002)」との比較ではあるが、教員のメンタルヘルス対策の必要性が改めて浮き彫りになった。
この調査は社団法人東京都教職員互助会とウェルリンク株式会社が委託を受けて行った。全国473の教育委員会と、全国66の小中学校・1609名の教員の回答を得ている。
一般企業との比較
タイトルにも掲げたように、一般企業との比較が興味深い。
「普段の仕事でどの程度身体が疲れますか」との質問に対して、「とても疲れる」と回答した教職員は44.9%にのぼる。一般企業での14.1%に比べると3倍以上に及んでいる。
「うつ傾向の自覚症状」を訴える教員は一般企業の2.5倍もいる。例えば「気持ちが沈んで憂うつ」「気がめいる」「いろいろなことに頭が回らない」「からだがだるい、疲れる」「イライラする」「食欲がない」などどの項目でも一般企業に比べ「あてはまる」「まあ、あてはまる」とした人の割合が多い。
「教職員のストレスの原因」としては、「仕事の量」60.8%がダントツ。「1週間のうちで休める日がない」43.8%、「児童生徒の話や訴えを十分に聴く余裕がない」61.5%、「勤務時間以外でする仕事が多い」89.0%などの各項目が如実に物語っている。
教育委員会の対策は
実際にメンタルヘルス対策にあてられている予算額のダントツは「0円」53.5%。「10〜50万円未満」6.1%、「100〜500万円未満」4.2%…と続くが、それ以外に「未回答」が29.8%もあるのが気になるところ。
教職員のメンタルヘルス不全はそのまま児童生徒にも影響が出ることを考えると、この対策状況は無視できないのではないだろうか。
それでも先生方ががんばっているわけ
先生方は忙しい、疲れている、という結果が出ているわけだが、一般企業よりも仕事へのモチベーションや実生活での満足度が高いこともわかった。
「仕事に意義・やりがいを感じる」「将来も今の仕事を続けたいと思う」「今のライフスタイルに満足している」「家庭とのコミュニケーションが十分できている」などは、教職員の方がどれも25〜50ポイントも高い。特に「意義・やりがい」については、一般企業52.0%に対して、90.0%に及んでいるということは興味深い。
ちなみに、今回比較対象となった一般企業のデータは6年前のもの。同様の調査が昨年行われている(「労働者健康状況調査(2007)」)ので、ご興味のある方はご覧いただければと思う。
現場は本当に忙しいです。子どもたちの笑顔に救われています。
現場でがんばっていらっしゃる先生方へ。
どうぞひとりでがんばらないでくださいね。
必ず自分のつらさを共感してくださる方がいらっしゃるので。