22日〜24日の3日間、広島大学において「日本LD学会第17回大会」が行われた。全国各地から研究者や現場教師らが集まり、予想以上の来場者にプログラムが不足したり、人気のシンポジウムや講演では会場から人があふれ出たりするほどの盛況ぶりであった。
日本LD学会とは、LDとその近隣の概念を理解し、そうした状態にある人々への発達支援を考えるため、1992年に設立された学術研究団体である。教育、心理、医療等に携わる専門家や教師、そして保護者など正会員数は6,000人近いという。(会長・上野一彦 東京学芸大学教授)
本大会のメインテーマは、「クリニックからクラスルームへ―教育が果たすべき役割―」とクリニック(別の場所で行う手厚い教育・療育の総称)の叡智を通常の学級を含めたクラスルームでいかに生かしていくか、に焦点があてられていた。
地元企画シンポジウム「矯正教育の学校教育への応用」
「特別な場所で扱う教育」という意味で目玉であったのが法務省広島少年院企画の地元シンポジウムであろう。
少年院には発達障害の子どもが二次障害から非行に走り、収容されているケースが多々あるという。本シンポジウムでは、地元広島少年院の法務教官が中心となって、二次障害をおこしてしまって対応が難しい状況にある子どもたちへの教育実践が報告された。これら実践は「クラスルーム」でも生かされるであろう。
同様のケースとして、『心からのごめんなさいへ―人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦』(品川裕香著)『なぜ特別支援教育か―非行を通して見えるも』(藤川洋子著)などの書も出ており参考になる。
通常の学級における特別支援
「通常学級における授業づくりの方法論」「特別支援教育の視点に立った通常の学級のクラス作り・ルール作り」など自主シンポジウムが組まれ、人気を集めていた。特別な支援を要する子どもがいる学級において、いかに授業を作り、学級を経営するか具体的な提言がなされ、それら研究の深まりが感じさせられる。
全国への広がりを
参加した特別支援教育コーディネーターの1人は「今回得た情報を仲間にどう伝えていくか」がポイントと話す。一同に会した研究者、現場教員たちは、特別支援教育への熱い思いを確かめ合い、地元に戻る。その人を核にまた一歩、特別支援教育がすすむことが望まれる。
- LD学会第17回大会
http://www.ld-17.com/ - LD学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jald/index.html
発達障害関係の学会の中でLD学会は最も元気な学会だと思います。
来年は、東京学芸大学での開催。どれだけの人が集まるのか・・・楽しみです。