![子供を救う 給食革命](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4104670014.01.MZZZZZZZ.jpg)
「えー!? もう後片付けの時間?」そんな声が聞こえてきそうである。給食時間の短さゆえに、泣く泣く?給食を食べ残してしまう子どもの声だ。学校給食における食べ残しの多さの原因が「給食時間の短さ」にあるのではないかと言う見方がされ、その時間が見直されている。
1月18日の東京新聞の記事によると、東京都足立区が以下の通り給食時間の延長を決めた。
足立区教育委員会は、区立小中学校の給食時間の5分延長を全校に指示した食べ残し解消やゆとりある給食の実施が狙いで全国給食週間(24〜30日)の期間中に行う。
区内の公立学校における実質の食事時間(準備・後片付けの時間を除く)は、小学校で15〜20分、中学校ではわずか10分程度という。とりわけ中学校は短すぎる感が否めない。
主な狙いとして「食べ残し」が挙げられている。確かに栄養バランスを考えたとき、育ち盛りの小中学生には極めて重要な視点である。また食育上重視されるべき農家や栄養士といった「作り手への感謝の念」を育てる上でも、食べ残しを減らすことは大切だ。加えて、早食いによる事故防止の気風も制度導入には追い風だと考える。
しかしながら、ここでは子ども同士・子どもと先生の間の「コミュニケーションの場」の視点で、時間延長は意義あるものだと強調したい。「食」、とりわけ学校給食とは、単なる空腹感を満たすもの・栄養の摂取ではないと考える。
まず子ども同士だが、普段はあまり親交のない友人の顔を正面から見たり、嗜好を理解したりする絶好の機会となる。黒板に向かって並んで座っている「机」が「食卓」に変わることで、見えなかった友人の一面が見えてくることは少なくないだろう。また、美味しいものを食べれば気持ちがほころび会話が弾む効果も期待される。
次に子どもと先生間については、コミュニケーションのみならず子どもをよく「見る」場として重要である。食欲は体調を如実に反映し、生徒の健康状態を見るバロメーターと言えるのではないか。さらには授業中では見えないクラス内の友人関係なども、給食時間中には前面に出てくる可能性も大いにある。ほかの時間ではなかなか先生と話せない子どもも、給食中ならばと接触を図るケースも考えられる。
以上のように、給食時間に託された役割は非常に重く大きい。食育や健康の視点も決して外すことはできないが、「場」としての意義を考える上でも時間の延長には賛成である。
子どもも先生も残さないように食事をかき込むので精一杯、という状況が少しでも改善されることを望む。給食に単なる「食」ではなく「場」としての意味を持たせること−それもまた食育上の大きな課題ではないだろうか。
![](/common/img/banner/merumaga_w655h70.png)
ゆとりを持った食事をさせてあげたいです。