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3日の産経新聞の記事によれば、平成23年を目処に、日本初の映画専門の大学ができるとのこと。現在、神奈川県川崎市にある映画の専門学校、日本映画学校が4年制大学へと移行するそうです。今までも、例えば日本大学芸術学部の映画学科など、映画について学べる大学はいくつかありましたが、今回のニュースが目新しいのは、映画関連「のみ」の大学だということ。
専門学校→大学の理由
一般には、専門学校が特定の知識や技術の習得を目的とするのに対し、大学はより包括的な知識の習得が目的、といった感じでしょうか。例えば役者や音響といった一分野だけでなく、映画全体に対する見方、知識を大学では深めていくようです。前述の産経新聞の記事でも、専門学校のままでは単位の互換性の面で不便、と語られています。つまり、いくつもの分野にまたがっての取り組みをしやすく、充実させたい、ということが読み取れます。映画を全体的な視点からコーディネート、プロデュースする人材も、従来より育ちやすくなるのでは?
日本映画の近況
ここ最近の日本映画界の話題と言えば、なんといっても「おくりびと」のアカデミー賞外国語映画部門受賞でしょう。「おくりびと」だけでなく、近年邦画は全般的に好調で、1月30日のnikkei TRENDY netによると、08年の邦画興行収入は約1158億5900万円で過去最高、逆に洋画は前年から約23.9%減少して約789億7700万円と、邦画が洋画よりも多くの人に見られていることがわかります。少し前までは見るのはもっぱら洋画、邦画は見ても本当に話題作くらい、という人も多かったのでは? そうした観点からも、映画を作りたい、学びたいという人は増えているのではないでしょうか?
経済効果
よくヒット作がでたりすると、「経済効果」というものが取り上げられますが、一つの例として、四国経済産業局が08年12月3日に発表した報告書を見てみると、徳島を舞台とした映画『眉山』の経済効果は最大39億円だったそうです。国内の映画は単純な鑑賞料金以外に、ロケ地などに波及する効果も侮れません。こうした経済効果を考慮して、国や自治体としても映画の製作、育成を積極的にフォローしていってほしいですね。
絵画や音楽は、美大や音大という形で技術と理論の両面を学んでいる事を思えば、娯楽でもあり、芸術でもありという映画に大学「映大」ができることも自然に思えます。映画について学びたい、映画に関する仕事がしたいという学生に、「映大」は新たなチャンスを示すことになるのか。注目していきたいところです。
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そんな中での「おくりびと」はやっぱり快挙でしたね!