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慶応義塾、付属の小中一貫校開設を延期―財政難が原因
kyoikujin
2009/7/24 掲載
小中一貫の学校づくり

 慶應義塾の21日の報道発表によると、2011年4月に予定されていた小中一貫校の開設を延期するという。財政状況の変化により創立150年記念事業全体を見直した結果、21日の慶応義塾評議会で延期が決定した。

 慶応義塾が新設する予定だった小中一貫校は、福沢諭吉の教育理念を基盤にした男女共学校で、定員は120名となる予定だった。同塾は、2007年に7月に横浜市青葉区の学校予定地活用事業者公募に申請を行い、同年11月に横浜市から事業予定者として採択されていた。
 発表によれば、延期の原因は財政状況の変化にあるとされており、同塾の「平成20度収支決算について」の発表にある、269億円の支出超過額(赤字)が要因となったと考えられている。この損失は、昨年からの世界的な金融危機の影響によるもので、同塾が保有していた有価証券の時価評価が大幅に下落、約170億円の評価損を計上することとなった。延期される期間は今のところ未定で、できるだけ速やかに着工することを前提に検討されるという。

一貫校で囲い込み―慶応の戦略の行方は?

 少子化の影響で学生の質が低下することへの懸念や、公立一貫校の人気による私立離れに対応するため、相次いで有名私大が付属校新設や提携拡大を進め、優秀な学生の囲い込みを行っている。慶応義塾が予定していた小中一貫校計画も、そのような流れに沿ったものと考えられており、受験関係者や保護者の間では大きな話題になっていた。
 ライバルとされる早稲田大学は今春、大阪の摂陵中学・高校を系属化(大学とは別法人のまま系列化)している。来年度はさらに、練馬区の早稲田大学高等学院に中学部を新設、佐賀県には系属校となる早稲田佐賀中学・高校を開校する。早稲田大高等学院付属中学校は、初の早大直系の付属中学校で、全員が内部進学可能となる予定。より早期から優秀な生徒を囲い込もうとする動きと見られている。
 関西でも、関西大学・関西学院大学が2010年から、同志社が2011年からの付属校設立を予定している。

 大学全入時代に入り、有名私大においても様々な戦略で学生の確保に奔走する中、今回の延期で慶応義塾は一歩遅れを取ることになりそうだ。前述の早大系列校、摂陵中学・高校が定員割れを起こすなど、保護者によるブランド力の見極めも厳しくなる昨今、小中一貫校開設の動向に注目したい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2009/7/26 16:57:23
    経済学の教授が運用すれば成績凄そうだけど、やっぱり学問と実践は違うのかな。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2009/7/27 19:09:50
    アメリカの大学もかなり痛手を被っているみたいですね。
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