きょういくじん会議
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安全のための泳ぎ方―着衣泳を指導する学校増加中!
kyoikujin
2009/7/28 掲載
指導者のための命を守る着衣泳―新指導法準拠テキスト

 待ちに待った夏休み。ここぞとばかり、さっそく海や河川、開放された学校のプールなどで水遊びを楽しみに出かけている人は多いのではないでしょうか。小学校の水泳の授業やスイミングスクールでは、クロールや平泳ぎなど、競泳方法を教わることが多いと思いますが、最近では、安全のための泳ぎ方、着衣泳(着衣水泳)の講習を実施する学校も増えているようです。

 日本の教育現場でのプール設置率は、小学校で87%、中学校で約72%、高校で約64%(平成18年)となっています。夏休みでも、プールを一般開放したり、水泳レッスンを設ける小・中学校は多いですよね。スイミングスクールも人気の習いごとの1つです。

 日本の小・中学校で水泳の授業(水泳を習う)というと、主にクロールや平泳ぎ、背泳ぎなど、上手に泳げるようになる競泳方法を丁寧に指導することが多いと思います。しかし、オランダやイギリスなど、運河などが多くある国では、子どもに護身術としての泳法を身に付けさせるため、スイミングスクールに通わせる親が多いようです。

 たとえば、オランダでは、衣類を身に付けて泳ぐ着衣泳の教育が重視されているようです。コートを着たり、靴をはいたまま泳ぐ方法を習うことも。たくさん服を着て水に入ると、衣類が水を吸って重くなり、沈んでしまうのでは…と思いがちです。しかし実際は、衣類が空気を隙間に含むため、浮力や保温性があり、水難事故の際に衣類を身に付けているのといないのでは大きな差が生まれるそうです。

 それでも、衣類を着たまま水に入れば、水の抵抗が大きくなり、身体の動きも制限されます。普段の生活でそのような状態を経験することはまずありませんので、一度でも着衣泳の経験があれば、いざというときにもパニックを起こさず、対処することができるかもしれません。

 また、日本では浅いプールでクロールなどの競泳方法の指導を始めることが多いようですが、イギリスでは、深いプールで物につかまりながら動く動作から始まり、初心者向けにアレンジされた簡単な救助法の訓練を学ぶことも、水泳指導の一環に含まれているようです。

 これらのことから、日本では上手に泳ぐ方法を教える「競泳のための泳ぎ方」に重点がおかれていますが、他国では身を守る方法を教える「安全のための泳ぎ方」に重点をおいている、というように、考え方に違いがあるように思われます。

 最近、日本の小学校でも少しずつ、夏休み前に着衣泳の講習をする小・中学校が増えてきているようです。夏休みは海や川など、家族で自然と触れ合いに出かける機会も増えるかと思います。先日も、山岳事故が報道されていましたが、自然を甘く見ず、安全への意識を常にもって、楽しい思い出をたくさんつくりたいですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2009/7/29 17:59:10
    毎年毎年、悲しい水の事故が絶えませんので、このような取り組みがもっと広がると良いなと思います。
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