
先日、スーパーでめずらしい野菜を発見しました。名前は、「打木赤皮甘栗」と「鹿ヶ谷」。この名前を聞いただけで、どんな野菜なのか、みなさんはおわかりになりますか。
正解は、かぼちゃ。どちらも伝統野菜(打木赤皮甘栗は加賀野菜、鹿ヶ谷は京野菜)のひとつです。他にも、宿儺(飛騨)、勝間(なにわ)など、伝統野菜はかぼちゃだけでも全国各地に存在するようです。おすすめなのは、そうめんかぼちゃとよばれる金糸瓜(能登)。茹でると糸状にほぐれて、三杯酢で和えればおいしくいただけます。
- 打木赤皮甘栗(加賀野菜公式ホームページ「いいね金沢 加賀野菜」)
http://www.kanazawa-kagayasai.com/kagayasai/akakabocha.html - 鹿ヶ谷(農林水産省近畿農政局)
http://www.maff.go.jp/kinki/seisan/engeitokusan/engesanti/k06.html - 宿儺(飛騨地域農業改良普及センター)
http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s24909/dentouyasai/sukuna.html - 勝間(財団法人大阪市農業センター)
http://www.nogyo-osakashi.or.jp/yasai/01-06.html - 金糸瓜(能登野菜振興協議会)
http://www.is-ja.jp/wakaba/notu/about/kinshiuri.html
脚光あびる伝統野菜
伝統野菜は、各地で古くから栽培、利用されてきた野菜の在来品種で、地方野菜とも呼ばれます。1970年代以降、単品種大量生産の流れで、コスト面から大消費地向けはほとんど消滅していましたが、近年の野菜人気で、再び注目を集めています。
8月14の中国新聞の記事で紹介された広島市の小河原おくらのように、伝統野菜は、産地において地方農業の活性化の役割を担っているものもあるようです。また、地域おこしにも利用されていて、奈良市で開催された伝統野菜を題材にした「食育かるた大会」の様子が、8月26日の奈良新聞の記事で紹介されました。伝統野菜は、郷土料理と結びついていることが多いので、その土地の伝統的食文化を知るという点では、食育の素材にふさわしいのかもしれません。
さらに、伝統野菜は独特の風味が豊かなだけでなく、栄養価が高くて身体によい作用もあります。例えば、5月29日の産経新聞の記事によると、なにわの伝統野菜玉造黒門越瓜に、アルコール肝臓疾患の予防に効果があることが研究でわかったと報じられています。
伝統野菜をもっと身近に
このように、おいしくて身体にもよい伝統野菜は、デパートやスーパーで見つけることができます。その他に、宅配サービスで手にいれる方法もあります。有機野菜などの宅配サービス「らでぃっしゅぼーや」の商品「いと愛づらし野菜セット」は、伝統野菜やめずらしい野菜1〜3種に下ごしらえの方法や地元直伝のレシピがついて自宅に届くので、自宅にいながらにして、遠く離れた産地の味を楽しめるとあって好評のようです。
わたしたち消費者のニーズの多様化により、流通が活発になって手に入りやすくなった伝統野菜ですが、単においしいだけで終わらせるのはもったいない気がします。食育として、産地の状況や伝統的食文化について調べてみることもできます。また、そのことが産地からの一方的な供給ではなく、産地と消費地が相互に行き来することになって、より多くの伝統野菜に出会える機会を作ってくれるのかもしれません。

そうめんかぼちゃ、食べてみたいです。