![入門 行政の「事業仕分け」―「現場」発!行財政改革の切り札](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4324081085.01.MZZZZZZZ.jpg)
先日の18日の記事でも、行政刷新会議の事業仕分けで理科支援員配置事業の結果が廃止となったことをお伝えしたが、科学技術関係の予算削減について、批判が相次いでいる。
19日、廃止判定となった理科支援員配置事業を実施するJST(独立行政法人科学技術振興機構)は、総合科学技術会議有識者議員による科学技術関係予算の確実な確保について(緊急提言)(PDF)をまとめ、発表している。
また、24日の読売新聞では、事業仕分けによる科学技術分野での予算の廃止や大幅縮減に対して、東京大学の浜田純一学長ら旧帝大の7学長と、早稲田大総長、慶応大塾長の9人が東京都内で記者会見し、事業仕分けを批判する共同声明を発表したことが報じられている。このように9大学の学長が集まることは、極めて異例だという。
いずれも、海外主要国と比較しての日本の科学技術に関する研究費の少なさや、短期的な視点から科学技術事業を廃止することによる日本の科学技術基盤の衰退を懸念する見方である。短期的な視点での科学技術事業廃止の危うさについては、JSTの提言では以下のように述べられている。
科学技術の分野では、携わる人材に負うところが大きい。そのため、予算の減額となり計画が縮小して人材が散逸した場合には、仮に後年に予算額が復活したとしても、水準を元に戻すことは非常に難しい。
科学技術関係予算の編成に当たっては、科学技術の専門家の意見に十分配慮しながら進めることが必要である。短期的な視点で評価するのではなく、国家百年の計を図るとの認識を持って、科学技術関係の予算の拡充を強く求めるものである。
とくに、科学技術分野の政策はすぐに芽の出るものではなく長期的な計画が必要であることは以前から言われてきたことである。また、民間人を中心とする仕分け人が参加し、公開の場で議論がなされる点で今回の事業仕分けを評価する声もあるが、1事業に対して1時間で結論を出すという方法が、複雑な科学技術に関する事業の内容や意義を理解し検討することに馴染まないという見方もあるということか。
なお、予算縮減や廃止の対象となっている文部科学省関係の事業仕分けについては、文部科学省パブリックコメントページで確認することができる。また、各事業について、12月15日まで広く意見を募集している。
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子どもたちに実験観察をさせれば理科嫌いは生じないし感動体験も一人ひとりの子にさせることもできる。実験観察の事前準備をしっかりするためにも支援員は必要であると考える。