きょういくじん会議
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科学部活性化なるか? JSTが資金支援
kyoikujin
2010/3/30 掲載

 中学や高校の「科学部」に、みなさんどのようなイメージをおもちですか? 学校によっては「難しそうなことをやっていてカッコいい!」という場合もあるかもしれませんが、筆者の中学・高校の科学部は「目立たない」「どんな活動をしているのか謎」…といった印象でした。部活動というと、やはり運動部に人気があって、科学部などの文化部は活躍の場が少ない気がします。24日の毎日新聞によると、そんな科学部の救済に、科学技術振興機構(JST)がのりだしたそうです。

選ばれたプロジェクトに資金援助

 同記事によると、部員減少などで衰退傾向にある中学・高校の「科学部」(物理部や天文部などの名称の部もふくむ)の3年かけて取り組む研究テーマやプロジェクトを公募し、有識者委員会が100件を選考して、高校で年50万円、中学で30万円を3年間支給するそうです。ただし、近隣の大学や博物館、他校や地域のNPOなど、他団体と連携することという条件があるようです。
 たしかに観測や実験・観察をするにはお金がかかりますし、理論的なことをやるにしても、科学の本は価格が高めですから、1冊買うにもそれなりに費用はかかります。今回はプロジェクトごとに資金援助が受けられるわけですから、どんなプロジェクトをしようか考えることで目標も明確になりますし、「部費がない」という理由でやりたかった研究ができなかった学校をすくえそうです。中学、高校から、授業のこと以上に興味をもってとりくむ子どもたちの好奇心を大切にしてあげたいですね。
 この支援の詳細は、全国高文連自然科学専門部」ホームページから確認できます。

ほかにもできる? 科学部を活性化させる提案

 さて、先ほどの記事では、科学部が部費や勢いで運動部におされているように書かれていましたが、もっと科学部を盛り上げるためにはどのような活動ができるか、各地域の科学部のサイトなどを見ながら、少し考えてみました。

@賞をとることを目標に活動!
 運動部に大会があるように、文化部にも大会やコンテストがあります。もちろん、自分の興味の対象をとことん追究することがいちばんですけれど、それが賞をとったら、なお嬉しいですし、全校生徒の前で表彰されたら、「カッコいい!」となるかもしれません。また、賞をとると、科学部での活動が新聞や科学雑誌や載って注目されることもありますし、生徒もやる気も出ますよね。
 国際科学オリンピックや日本科学オリンピックなどの大規模大会をはじめとし、都道府県や企業が企画したものもあります。コンテストはNPO法人日本サイエンスサービスのサイトなどで見つけることができますので、顧問の先生方、ぜひ生徒さんの興味や得意分野に見合ったコンテストを見つけて、すすめてあげてくださいね。

A校内イベントを企画して学校中を巻き込む!
 賞をとるような活動はできなくても、もっと気軽に、科学部での活動をオープンにすることで、科学部を活性化できるのではないでしょうか。科学部が主宰のイベントを企画して、学校を巻き込んでしまってはどうでしょう。たとえば、流星群などの天体観測。一般生徒も参加可能にすることで、科学部の活動を知ってもらえる機会です。筆者も高校時代、金曜日に学校にとまりがけで天体観測をしたのを覚えていますが、仲間と一緒にきれいな星空にふれる機会は、天体に特別興味があるわけではない生徒にとっても、いい思い出になると思いました。

B地域や他の学校との交流する!
 文化部の成果の発表の場としては文化祭ですが、文化祭はもちろんそれ以外にも、地域や他の学校の交流をはかって活動にはげんではいかがでしょう。たとえば、科学部の部員が小学生に(高校の科学部なら中学生にも)自分の研究の成果を教えたりする場などが考えられます。
 また、近隣の学校と切磋琢磨すると、励みになるのではないでしょうか。18年度にスーパーサイエンスハイスクールに指定された、埼玉県の川越高等学校をはじめとし、浦和高等学校・春日部高等学校では、過去十数回に渡って、各校の文化祭で、三校対抗ロボットコンテストが行われているそうです。埼玉県立川越高等学校 物理部のサイトにはロボコンの写真や考案されたルールも載っていますが、かなり力を入れて活動しているようすがうかがえます。
 他にも、科学部を盛り上げる方法を思いついたり、実践している例をご存知でしたら、ぜひコメントをお寄せくださいね。

 全国高等学校文化連盟自然科学専門部が行った20年度の理科・自然科学系部活動実態調査では、1万8千人ほど生徒が、科学部に所属し、活動しているそうです。これらの生徒が、パッとしない科学部のイメージを払拭して、大いに活躍されることを期待します。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
10件あります。
    • 1
    • 全国高文連自然科学専門部より
    • 2010/4/2 14:01:58
     取り上げていただき、ありがとうございます。皆さんのご意見や、科学部のあり方などを、ぜひお聞かせいただけたらと思っています。どうぞよろしくお願い致します。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2010/4/2 20:38:02
    科学部のあり方とは離れますが、日本の小中の教科書や参考書は妙に子ども向きに編集されているのが気になります。もちろん、子どもむきに優しく丁寧に書く必要はあると思いますが、大人でも知的好奇心をくすぐられるような紙面ってあると思うんですけどね・・・。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2010/4/3 8:52:06
    >全国高文連自然科学専門部さま
    コメントどうもありがとうございます。
    調査結果等、本文にリンクをはらせていただきました。
    学校あたりの科学部部員数は、さほど少なくはないのですね。
    また、精力的に活動している科学部(川越高校の例など)はかなり高度なことをしていることにも驚いています。
    他にもおもしろい活動をしている例などがあれば、取り上げていきたいと思っています。
    • 4
    • 名無しさん
    • 2010/4/3 8:59:30
    天文部漫画を見つけました。ちょっとラブコメ色が強いですが。http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000002541
    いろんな部活の漫画があるので、科学部漫画もあっていいのではないかと思っています。ただ、科学は内容が難しいイメージなので漫画にするのもむずかしいのでしょうか…。
    • 5
    • 全国高文連自然科学専門部
    • 2010/4/3 21:19:30
     漫画といえば最近は、非常に理解が困難なテーマに対して漫画といいますかアニメ調で、易しく説明するものが随分と出ていますね。私も、「ねこ耳少女の量子論」という本を持っていますが、大学の講義で聴いたときでもよくわからなかった量子論が、予備知識なしで少しはわかるようになっています。
     科学部漫画(アニメ)というのも、おもしろいかも知れません。本題からあまりはずれても仕方ありませんが、「けいおん」というアニメもCSで始まりますし。
     ただ、何でも漫画チックにやさしくすればいいと言うわけでもないとは思います。科学部が本来持っている「調査・研究の楽しさ」を損なわずに、動機付けとしてわかりやすいものがあれば、もっと理解が深まるかと考えます。
    • 6
    • 名無しさん
    • 2010/4/5 18:27:52
    私の高校では科学部が文化祭でいつもドラム缶つぶしをしていた記憶があります。初めて見ると相当インパクトがありました。
    • 7
    • 名無しさん
    • 2010/4/6 12:55:52
    >6
    それは面白いですね!
    • 8
    • 全国高文連自然科学専門部
    • 2010/4/7 7:15:14
     科学部というと、誰にも分からないような怪しげな(!?)研究を、密かにやっているようなイメージがあるかも知れませんが、実は、身近な疑問から生じたことを研究・調査してみるといったことに取り組んでいるのが多いのです。
     例えば、缶ジュースを開けたとき、リングプルのアルミ破片がジュースの中にどのくらい入り込むのか?という研究。
     食品の中に入っている甘味料を調べてみよう、という研究。
     花火の色・光(明るさ)・燃焼温度の研究。
     これらはほんの一例です。全国の科学部で、身近なテーマを取り上げて、地道に研究が行われています。
    • 9
    • 名無しさん
    • 2010/4/13 10:42:30
    >8
    リングプルのアルミ破片がジュースの中にどのくらい入り込むのか?
    なんて、考えたこともありませんでした。
    こういったテーマを考えているのが子どもだとしたら、着眼点がすごいですね。
    それとも顧問の先生がアドバイスしているのでしょうか…。
    • 10
    • 全国高文連自然科学専門部
    • 2010/4/26 21:33:10
    顧問のアドバイスで、研究テーマが決まることももちろんあります。それと同様に、生徒達が自ら考えて、研究テーマを設定することも多いです。
    生徒達は、身近な疑問「どうしてなんだろう?」ということを追求してみようとして、じゃあやってみるわけです。それに対して顧問は、ご自身の大学からの研究テーマに沿ったものを、やってごらんと勧めることも多いかと思われます。
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