きょういくじん会議
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KYはヒトだけではない? チンパンジーの最新研究から
kyoikujin
2010/3/26 掲載
チンパンジーはいつか人間になるの?―おどろき動物進化学

 一時期「KY(空気が読めない)」という言葉がさかんに使われていました。これはヒト(特に日本人?)が、「空気を読む」ことを非常に重視しているということの証拠なのかもしれません。ところが、この「空気を読む」という特技が、ヒトだけのものではない可能性がでてきました。

チンパンジーも空気を読む?

 つい先日、実はチンパンジーも、ヒトがまるで「空気を読んでいる」かのように同種の仲間の視線に敏感である、という研究結果が発表されました。
 23日の産経新聞の記事によると、実験を行ったのは京都大学霊長類研究所のチームで、あるチンパンジーにヒトの写真とチンパンジーの写真を見せたところ、視線の先にあるものを見る時間は、仲間であるチンパンジーの写真を見せたときだけ2倍の長さになるそうです。
 つまり、チンパンジーもヒトと同じように、具体的なしぐさだけでなくアイコンタクトなどの微妙なコミュニケーションをすることができる可能性があるというのです。

 実験を行った霊長類研究所では、以前からさまざまなチンパンジーに関する研究が行われてきました。その中には、チンパンジーは見返りがなくとも仲間の要求に応えるなどの研究結果もあり、今回の結果とあわせて考えると「相手の気持ちを汲む」ということは、もはやヒトだけの特徴とは言えなくなっているのかもしれません。

そもそもチンパンジーとは?

 そもそも、なぜチンパンジーはこのような実験の研究対象となるのでしょうか?
 チンパンジーは、約600万年前に共通の祖先から枝分かれした、ヒトに最も近い動物です。そのDNAを比較してみると、ヒトとの違いはわずか3%ほどしかありません。さらに、木の枝を使ってアリ塚からアリを釣って食べるなど、道具を使うことができ、野生では集団で社会を作って行動する(他集団への「嫁入り」があるなど、集団同士の関わりにも興味深いところがあります)など、ヒトとよく似た行動をすることが知られています。
 また、25日の読売新聞の記事では、今回の実験を行った霊長類研究所の友永教授が、今後は他者の気持ちを読み取るというヒトの特徴がどのように進化してきたのか、ということに注目したいと述べています。ヒトの進化にはまだ多くの謎が残されていますが、チンパンジーの行動を研究することは、その過程を知るために大きな役割を果たすことになっているのです。

 京都市動物園などでは、現在、チンパンジーが数字を学ぶところを公開していて、実際に見学することもできるそうです。京都は少し遠い…という方も、春休みにお子さんと動物園を訪れてもしチンパンジーの檻の前を通りかかることがあれば、ぜひ、その行動の奥深さに思いをはせてみていただきたいと思います。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • なでしこ
    • 2010/3/26 22:55:03
    サクラが咲く新年度に、学校を変え、子供達を救いませんか。不登校、退学、ひきこもり、ニート、うつ病、自殺にする学校教育から、子供達を助ける必要があります。
     PTA総会から、草の根の学校改革を始めましょう。
    最初の質問は、「先生方は『おバカ教育の構造』(阿吽正望 日新報道)を読みましたか。この本には、現在の学校教育は、指導内容も指導方法も教科書もデタラメであると書いてあります。専門家として先生方は、現在の教育をどのように考えていますか。」です。
    「優れたもの」との返答なら、「学校の教育を信頼して良いのですね」と畳みかけます。
    次の質問は、「子供の将来のためには、『学校に通わせる』のと『塾に通わせる』のとでは、どちらが大事でしょうか」です。「学校」との返答には、「子供に必要な知識や学力を、間違いなく身に付けさせてもらえるのですね」と確認します。
    「子供達の教育に責任を持ちます」との言葉を、学校と教員から引き出しましょう。
    友達に声をかけ仲間を作り、教員の言い訳を許さず、専門職としての責任を果たすよう、徹底的に要求して行きましょう。
    PTA総会を、教員と親の議論の場にしましょう。そこから学校が変わる筈です。
    日本全国の親に呼びかけています。
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