きょういくじん会議
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ブブゼラに賛成?反対? 楽器から南アの文化を見よう
kyoikujin
2010/6/29 掲載
VUVUZELA ブブゼラ 南アフリカ民族楽器 ワールカップ応援!

 いよいよ本日、サッカーワールドカップ決勝トーナメント、日本対パラグアイの試合が行われる。キックオフは、日本時間午後11時。

 ところで今回の南アフリカ大会といえば、誰もが思い浮かぶ音があるだろう。そう、「ブブゼラ」の音だ。スタジアムで絶え間なく鳴り響くあの独特の重低音には賛否両論が渦巻いているが、いずれにしてもワールドカップで大注目をあびた楽器ということは間違いない。よくも悪くも盛り上がりに一役かっているのは確かだ。

♪楽器事典にのっていない楽器?!♪

 「ブブゼラの音で一過性難聴になる」とか、「フランスがテレビ放映の際にブブゼラの音だけをカットすることに成功した」とか…。騒音とまでいわれてしまうと、楽器としてはなはだ心外だろうという気もするが、ではいったい、ブブゼラってどんな楽器なのだろう。という訳で、民族音楽に関する本をいくつか調べてみた。
 ところがどの本にも、「ブブゼラ」という名前は出てこない。ちなみにアフリカの民族楽器としてよく紹介されるのは、太鼓の他、「ラメラフォーン」や「カリンバ」という親指で金属をはじいて音を出す楽器や、「レインスティック」と呼ばれる種が入った筒のような楽器。管楽器の項目も見てみたが、フルートのような楽器が分布していることや、西・東アフリカでダブル・リードの管楽器が重要、とあるだけで、木製、獣角製、瓢箪製のトランペットのような楽器がある、ということに少し触れられているだけ。

♪ブブゼラは中国生まれ?♪

 実は、ブブゼラが普及し始めたのは1990年代とのことで、意外にも新しい楽器なのだ。起源とされているのは、ウシ科の動物「クーズー」の角でつくられた角笛で、元来はアフリカの先住民が狩りの際に鳴らしていたもの。それが現代になって、スポーツ大会の応援グッズとして一般的になったのだ。
 今日、スタジアムで吹かれているブブゼラはほとんどがプラスチック製。そしてその9割が中国製とのことだ。中国は試合には出場できなかったものの、観客席では中国製ブブゼラの席巻となったわけだ。25日の新華社通信では「ブブゼラを商業化したのは中国人だ」という記事もでており、ヒット商品の生みの親として名乗りをあげている。

♪ブブゼラのバリエーションも次々に誕生!♪

 ブブゼラは、一般的なサイズが約1メートルと、結構長いが、長さ10センチ弱の「ミニゼラ」も出現している。小さい分、もちろん音も高くなる。また、起源であるクーズーの角の形を模して、筒をねじった形にした「クドゥゼラ」という楽器も誕生。さらには、iPhoneやiPadではブブゼラの音を出すアプリも登場したとのこと。これなら、品薄状態でブブゼラが入手できないときに便利かも。

 日本チームの活躍で盛り上がりを見せているワールドカップ。試合そのものももちろん注目だが、周辺グッズなどからその国のことを調べてみるのも、その国の背景や文化が発見できておもしろい。
 各国選手らからの苦情で、一時はブブゼラ禁止も検討されたが、結局は、ブブゼラは南アフリカの文化であり、「ブブゼラはW杯の一部」として使用禁止が見送られた。確かに、あの大観衆、生で聴くブブゼラの音はうるさい―のだろうが、試合に勝てば心地よい音に感じてくるもの。今夜の試合、日本初のベスト8強入りをめざして、みんなで応援しよう!

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2010/6/29 19:20:00
    ブブゼラ、最初はうるさくて解説が聞こえないほど音を小さくして見ていたのですが、最近大分慣れてきました。
    しかし、仕事中もどこか遠くでブブゼラが鳴っているような感覚に襲われてしまいます。
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