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教師が一方的に説明するだけだと、教えた内容を子どもがすぐ忘れてしまいます。
どうすればよいのでしょうか?
ポイントは、子どもの「活動場面」を授業の中に入れることです。
授業は、教師が一方的に進めるものではありません。
子どもに、活動させる場面も必要です。
この「活動場面」があるかどうかで、子どもの理解の深さや広さが変わってきます。
「活動場面」とは、例えば次のような場を意味します。
例えば、食料自給率のことを教えるとしましょう。
まずは、自給率について、教師が教える必要があります。
教科書の内容を、発問や指示を入れながら、理解させていきます。
これで、子どもたちは、自給率の予備知識を得たことになります。
ただし、ここで終わっては、浅い理解になります。
ここから、「活動場面」を入れるのです。
例えば、自給率のことが書かれた新聞記事を配ります。
子どもたちは、気付いたことや、疑問点などをノートにメモします。
そして、4人班で、「わかったことや、気付いたこと、疑問点」を共有させます。これが、「情報の共有場面」になります。
教師が教えた知識よりも、幅広い知識が、子どもの中に蓄積されていきます。
もちろん、大切な情報は、全体でシェアさせます。
こういった、「調べ学習をしてからの、情報の共有」を3時間ほどやります。
4人班なら、役割を決めて調べ学習をさせてもよいでしょう。
例えば、次のように尋ねます。
「自給率に関することで、もっと調べたいことや疑問はありませんか。」
すると、次のような内容が出てきます。
@国の自給率はどれぐらいなの?
A日本はどんな食べ物を多く輸入しているの?
B農家の人は、減っているの?
C日本で生産されている作物で、多いものは何?
こういった疑問を、4人班で役割分担させ、調べさせます。
@の疑問は、A君が調べて、Aの疑問はBさんが調べる…、といった具合に分担させます。そして、それぞれの子が、本や新聞、インターネットで調べます。最後に、班の中で情報を共有させていくのです。
単元の終わりには、討論を行います。
「外国の食べ物がたくさん日本に入ってくるのは得か、損か。」といったようなテーマで、論争させます。これが、「意見の交流場面」になります。子どもたちが意見の交流をすることで、教師が一方的に教えるよりも、幅広い知識を習得させることができます。
3つ目に示した、「力を合わせて問題を解決する場面」は、理数系の科目で、よく使えます。
算数であれば、授業の最後に、応用問題を提示し、4人班で協力して解かせます。理科であれば、単元の最後に、応用問題を提示し、今までの知識を活用させながら、問題を解決させます。例えば、名前の分からない6種類の水溶液の正体を調べさせるといった活動が考えられます。
力を合わせて問題を解決させる場を用意することで、学習した知識を活用する力もつきますし、理解も深くなります。
もし、単元の最初に活動を入れるのであれば、例えば、「物の燃え方」の導入で、「空き缶の中で、木を燃やす」という活動を入れたことがあります。導入で、木を燃やす活動をすることで、「物が燃える」ということについて、幅広い理解を狙ったものです。
活動をさせると、子どもたちは、非常に多くの学びを得ることができます。
反対に、教師が一方的に説明すると、子どもたちの理解は、不十分になります。というのも、教師に比べ「経験や知識の量が不十分である子どもたち」には、教師ほど深く話を理解できないからです。
若手教師は、こういった「活動場面」を、授業の中で一回は必ず入れるのだ、と意識しておくとよいでしょう。
活動場面を一度は入れるのだと決意すると、授業が変わります。
ただし、子どもの活動場面ばかりの授業は御法度です。
活動が主となる授業でも、必ず「教える場面」も入れることは忘れてはなりません。