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いつも問題解決型の学習をさせておけばよいのですよね?
小学生の内は、何でも子どもに教えるべきですよね?
教えるか、子どもに解決させるか。
現場には、「どっちが正しいのか?」といった議論があります。
答えは明確です。
「どっちも大切」です。
もう少し詳しく言えば、「バランスよく両方を取り入れましょう」ということになります。
つまり、授業をつくる際に、次の2つの方向性を考えておかなくてはならないのです。
どのような方向性になるのかは、授業の目的によって変わります。
例えば、知識と技能の習得が目的であれば、「教えるのが中心の授業」になります。
その場合でも、「先に教えて、次に問題解決させるのか」、それとも、「先に問題解決させて、後から教えるのか」では違った授業になります。
問題解決が中心の授業でも、「先に教えるのか、それとも後から教えるのか」では、まったく違った授業になります。
ともあれ、良い授業とは、「教える場面」と「問題解決する場面」がバランスよくある授業です。
そして、教えるのが先なのか、子どもから考えを引き出すのが先なのか、を教師が意識していることが大切なのです。
基本となるのは、『教えて→次に問題解決させる』の順番で授業を展開することです。
ただし、毎回この順番で授業をしていると、弊害も出てきます。
それは、子どもが「待ち」の姿勢、「受け身」の姿勢になってしまう恐れがあることです。
つまり、教師がいつも教えてくれると思って、教師の答えを待ってしまう姿勢を、子どもに育ててしまうのです。
そこで、時には、子どもの問題解決を先にもってくることが大切になります。
「今日は、みんなだけで学習を進めますよ。答えはありません。みんなで意見を出し合って、自分なりの考えをもてたらよいのです。」
などと宣言します。
そして、あるテーマの新聞記事や、資料のコピーを用意します。
参考図書や、教科書、資料集、インターネットができる機器なども使ってよいことにします。
そして、教師が問題を出します。
例えば、社会科の学習なら、次のような、意見の分かれる問いをします。
「縄文時代と弥生時代と、暮らすならば、どちらが良いですか。」
「理想のエネルギーはどんなものだと思いますか」
そして、子ども達に調べる時間をとります。
調べるときに、班で相談してもよいことにします。
次の時間に、討論をさせます。
討論も、まずは、ペアで話し合い、班で話し合い、同じ意見の人で話し合い、最後に学級全体で話し合いをさせます。何度も話し合いの機会をとるのです。
子どもたちは、「答えはない」、「自分たちで学習を進める」ことが前提で、学習をしていますので、自分たちで答えを出さなくてはならないという責任感が生まれています。
一生懸命学習に参加するはずです。
ただし、学習の進め方は、適宜教師が教える必要があります。
どんな資料を見つければよいのか。
図書資料で調べた内容を、どうまとめればよいのか。
討論のときは、資料で調べた事実を、紹介しながら意見を言うこと、など。
学習の進め方は、教師が教えていく必要があります。
そして、学習の最後には、教師が子どもが気付かなかった点を補足したり、良い点を認めたりするなど、「教える」行為を行います。
また、こんな角度からの意見も学者によってはあるということを紹介していきます。
時々、子どもに問題解決を先にさせることで、受け身の姿勢をなくしていくことができます。