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養護教諭の役割を明文化していじめ対策へ―文部科学省
kyoikujin
2007/12/10 掲載

 9日の朝日新聞の記事によると、文部科学省は、学校保健法を改正し、養護教諭の役割などを明記する方針を決めたとのこと。

 この10年で、児童生徒がいじめなど心の悩みを養護教諭に相談するケースが大幅に増加していることは、以前の議題でも取り上げているが、このような状況で、養護教諭がいじめの存在を察知しても、現行法では養護教諭の役割が明らかでないため、担任や他の教諭の協力を得た有効な対処ができなかったという。

 中央教育審議会は、多様化する養護教諭の役割について、

  • スクールカウンセラーや地域の関係機関との連携で、中心的役割を果たすことが多くなった
  • 養護教諭が子どもの健康問題に果たす役割が重要になった
  • 学校内での養護教諭の職務に対する認識不足がある

などの理由から、職務内容を明確化し法制度を整備する必要があると指摘している。また、養護教諭の職務内容として以下の提案もあった。

  1. メンタルヘルス、発達障害
  2. 感染症予防対策
  3. 慢性疾患の管理と急性発作の予防・対応
  4. 学校検診の実施・評価・管理
  5. 事故の予防・救急処置
  6. 生活習慣病の予防
  7. 医療ネグレクトの発見と対応、いじめの発見と対応等

 同法の改正によって養護教諭がいじめ対策などを担うことになる可能性があるが、一方で、近年の調査では中学校保健室の1日の平均利用者数は数十人に達し、保健室登校を実施する学校もあることから、養護教諭の増員が求められている現状もある。

 先月、文科省が発表した児童生徒の問題行動の調査結果では、12万件あったいじめのうち、児童生徒が養護教諭に相談したケースは約8%程度。全体から見るとそれほど多くない数字だった。だが、今後、養護教諭によるいじめの対策などについて学校保健法に明文化されれば、さらに養護教諭の負担が増して十分な対応ができなくなってしまうことも予想されるだろう。

いじめられた児童生徒の相談の状況(2006年度)
相談した相手 件数 構成比
学級担任に相談 82,991 66.4%
保護者や家族等に相談 41,127 32.9%
学級担任以外の教職員に相談 17,105 13.7%
友人に相談 14,515 11.6%
誰にも相談していない 12,693 10.2%
養護教諭に相談 9,732 7.8%
スクールカウンセラー等の相談員に相談 6,405 5.1%
学校以外の相談機関に相談 2,088 1.7%
その他(地域の人など) 897 0.7%

※100%=124,898件。複数回答可とする。

 このような人員不足の状況にも配慮しつつ、養護教諭の主導のもと、学校教職員が一丸となって迅速にいじめに対処できるような体制が望まれているのではないだろうか。続報に期待したい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/12/10 20:08:39
    今まで明文化されてなかったなんてビックリです。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2010/3/9 17:23:44
    養護教諭が1人の学校もあるけど、大変そうです。
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