学校敷地内禁煙―仙台市立中教諭が市を提訴
5日の河北新報の記事によると、公立中学校の男性教諭(56)が、敷地内での喫煙許可などを求める要求を棄却した仙台市の判定を取り消す訴えを、仙台地裁に起こしたとのこと。
仙台市では03年10月に学校敷地内での全面禁煙をスタート。市が要求を棄却するにあたり、「校長に申し出れば喫煙は可能」とする市や市教委の見解が示されており、男性教諭は「禁煙か喫煙可能かあいまいで支障が出ている。訴訟ではっきりさせたい」と話しているようだ。
05年の文科省の「学校における受動喫煙防止対策実施状況」調査によると、公立小中学校の禁煙状況は下表の通りで、ほぼ半数近くの学校が敷地内禁煙の措置を取っている。
学校 | 敷地内禁煙 | 建物内禁煙 | 建物内分煙 | 未実施 |
---|---|---|---|---|
小学校 | 44.4% | 28.4% | 26.0% | 1.2% |
中学校 | 40.4% | 24.5% | 34.5% | 0.6% |
03年5月に施行された健康増進法では、学校などの多数の者が利用する施設を管理する者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないとされており、同法にあわせる形で校内禁煙が急速に進んだ。
ただ、同法では受動喫煙の定義を「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」としており、敷地内といっても屋外までを禁煙にする必要があるのかどうかは微妙なところだ。仙台市が校長次第というグレーな基準を設けているところにも、この問題の難しさが現れている。
敷地内全面禁煙にしたあまり、敷地外で喫煙する教員に対して見た目が悪いなどの苦情も来ることから、現実的な対応を求める声がある一方で、子どもに我慢することやタバコの害を教える教員が勤務中ぐらいタバコを我慢できなくていいのかという声もあり、裁判所がどのような判断を下すか注目が集まるところだ。
この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。

「見た目が悪い」など,常に世間にさらされるような環境を
つくるほうがもっと悪い。つまり校長が決めるのでなく,全
面禁煙をするか,もしくは,教員の勤務時間以外の自由を
完全に保証するか,どちらかである。