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スクールソーシャルワーカーで家庭も学校も円満に―文科省
kyoikujin
2008/1/7 掲載

 6日の産経新聞の記事によると、虐待や育児放棄、経済的な困窮など深刻な問題を抱える家庭の保護者や子どもに対し、専門的な見地で対応するため、文部科学省は、平成20年度から公立小中学校で活動する「スクールソーシャルワーカー」を、全都道府県に配置するとのことだ。

 同記事は、不登校やいじめ、暴力行為などの問題行動には子どもの家庭環境が影響している場合が多く、教員だけでは十分に対応しきれない状況を指摘している。家庭環境の問題と一口に言っても様々な状況が考えられるが、スクールソーシャルワーカーについては児童虐待に関連して話題に上ることが多いようだ。

 日本スクールソーシャルワーク協会の説明では、スクールカウンセラーが、問題行動を起こした子どもの心理的な葛藤を改善することで問題解決を図るのに対し、スクールソーシャルワーカーは、子どもと環境との不適合に問題があると考え、子どもが問題に対処できるように支援したり、環境を改善することなどで問題解決を図るとしている。

 平成18年の文科省の報告書「学校等における児童虐待防止に向けた取組について」でも、児童虐待防止の対策の一つとしてスクールソーシャルワーカーの活用が提案されており、スクールソーシャルワーカーが、学校と子どもや家族間を仲介するだけでなく、児童相談所や家庭裁判所と連携したり、地域に自助グループなどの社会資源を創出している例を挙げ、様々な機関と連携することで環境を改善する役割を果たす有効性が強調されていた。

 20年度の予算折衝過程で財務省の提案により15億円を計上する異例の経緯での実現とのことだが、いじめは文部科学省、児童虐待は厚生労働省といった、これまでの縦割り行政の垣根を越えたスクールソーシャルワーカーの活躍によって、今後、学校に関係する諸問題が改善し、安易な増員に頼らずに教員の多忙が解消するのなら、けっして高い投資ではないだろう。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/1/9 15:16:54
    小学校のスクールカウンセラーのように、あまり教員負担減の効果はない気がします…。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2008/1/9 19:21:38
    身分や収入が不安定なので、あまり志望者も少ないようですね。
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