文部科学省は4日、「平成22年度全国学力・学習状況調査における抽出調査への協力及び希望利用に関する照会の回答状況について(PDF)」を発表した。政権交代により、全員参加から抽出方式へ移行することになった全国学力テストだが、同資料によれば、全体の30.6%にあたるの10,000校が抽出調査校に選ばれ、抽出にもれた学校の61.3%にあたる13,891校が参加を希望した。抽出調査校と希望利用校を合わせると、参加率は全体の73.2%となった。
都道府県 | 参加校数 | 参加率 |
---|---|---|
北海道 | 1,633 | 85.6% |
青森県 | 290 | 56.1% |
岩手県 | 425 | 72.5% |
宮城県 | 516 | 77.8% |
秋田県 | 382 | 100.0% |
山形県 | 230 | 53.9% |
福島県 | 649 | 86.8% |
茨城県 | 776 | 95.4% |
栃木県 | 330 | 58.6% |
群馬県 | 205 | 38.8% |
埼玉県 | 547 | 43.6% |
千葉県 | 622 | 50.2% |
東京都 | 1,242 | 62.2% |
神奈川県 | 392 | 29.9% |
新潟県 | 593 | 76.4% |
富山県 | 288 | 99.7% |
石川県 | 333 | 100.0% |
福井県 | 285 | 99.7% |
山梨県 | 181 | 60.1% |
長野県 | 457 | 79.1% |
岐阜県 | 258 | 44.6% |
静岡県 | 533 | 66.4% |
愛知県 | 361 | 25.4% |
三重県 | 316 | 55.4% |
滋賀県 | 264 | 74.8% |
京都府 | 516 | 85.3% |
大阪府 | 1,399 | 93.2% |
兵庫県 | 948 | 81.9% |
奈良県 | 237 | 74.1% |
和歌山県 | 394 | 100.0% |
鳥取県 | 187 | 91.2% |
島根県 | 248 | 72.1% |
岡山県 | 529 | 91.2% |
広島県 | 710 | 90.7% |
山口県 | 478 | 100.0% |
徳島県 | 280 | 97.9% |
香川県 | 252 | 99.2% |
愛媛県 | 412 | 87.1% |
高知県 | 351 | 100.0% |
福岡県 | 1,122 | 100.0% |
佐賀県 | 277 | 100.0% |
長崎県 | 565 | 100.0% |
熊本県 | 499 | 83.6% |
大分県 | 436 | 100.0% |
宮崎県 | 393 | 100.0% |
鹿児島県 | 806 | 100.0% |
沖縄県 | 398 | 93.4% |
全体 | 23,545 | 74.6% |
都道府県別の公立小中学校の参加率では、秋田や石川など成績上位県が100%の参加率で、九州では熊本を除く各県が100%、大阪や沖縄も90%以上の参加率となった。一方、愛知県の25.4%や神奈川県の29.9%、群馬県の38.8%など、参加率が50%を下回る県も見られた。
抽出にもれた学校が希望利用する場合、採点や分析の費用はすべて自治体の負担となるため、負担を負えず参加を見合わせる学校も少なくなかったかもしれない。5日の読売新聞の記事では「(参加率が)低い地域は、県が独自の学力テストを実施している場合のほか、費用負担が大き過ぎると判断したケースもある」と指摘しており、財政面だけが理由とは限らない様子だ。
4日の時事通信の記事によれば、「鈴木寛副大臣は『当初想定した通りのニーズがあった。希望すればテストを利用できる仕組みを導入してよかった』と話した。」とのことだが、これだけの参加が最初から予想されていたのなら、抽出調査に移行することは、単に国の負担を地方に分担させただけにすぎないように見えなくもない。
学力テストの参加・不参加が、直接、学力に影響するとは限らないものの、これだけ多くの学校が参加する全国的な調査に、自治体の財政事情で参加できない状況が発生してしまうとすれば、あまり望ましい状況とは言えないのではないだろうか。
- 平成22年度の調査実施(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1288511.htm
教育委員会が「勝手に」、「やります」と手をあげ、あとのこと(採点)は丸投げしようとしている。
現場は、まったく望んでいないのに、このように書かれることは心外である。