野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(7)
授業で、いつも3、4人の子供しか発言しない
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2012/10/18 掲載
  • 野中流!学級経営&授業術
  • 学級経営

つまずき場面

 授業では、いつも3、4人の子供しか発言しません。
 もっと多くの子供たちに発言させる方法はないでしょうか?

1 考えられるつまずきの原因

 3、4人の発言しかないということは、ほとんどの子供たちが傍観者になっているということです。その3、4人は、常にどこでも発言できる子供ですね。どこのクラスでも必ずいます。発言することに何の抵抗もない子供です。
 授業のあり方が問題になると思います。その3、4人の子供の発言で進めていく授業をしていることになります。あとの子供たちは「彼等に発言は任せておけばいいや」と思っているのです。このクラスのあり方を変えなくては何も始まりません。

2 対応法

その1 クラスの子供8割を発言できるようにする方法

 私はすでに『新卒教師時代を生き抜く心得術60』(明治図書)で「クラスの子供の8割を発言できるようにする方法は?」という提案をしています。
 そこで提案していることは、次のことになります。
 第1に、「間違いを恐れない」というメッセージを伝えること。第2に、間違いや失敗の必要性を伝えること。第3に、発言できるようになる良さを確認すること。第4に、だめ押しをすること。
 絶対的な条件は、間違い意見を絶対に笑わないクラスの風土を作らなければいけないことです。気軽に発言できる雰囲気をクラスに作り上げることです。

その2 挙手発言だけが発言ではない

 注意したいことは、絶対に全員を挙手発言するように追い詰めないこと。8割は発言できるようになりますし、その子供たちは発言できるようになって生き生きしてきます。でも、どうしても挙手発言が苦手な子供たちもいます。それも認めてあげることです。
 考え方を変える必要があります。挙手発言だけが発言ではないということ。ノート発言もあり、プリント発言もあり、黒板発言もあるのです。
 だから、挙手発言だけを重要視していくことは慎まなければいけません。
 問題は、傍観者を作らないで、全員を授業に参加させていく方法を考えていくことだと思っています。
 それについては、この連載の8月号に書きました。参考にしてください。 

3 今回のポイント

 挙手発言だけが発言ではなくて、さまざまな発言があることを考えていくこと。
 授業は挙手発言だけにこだわらないで、全員の子供たちが参加できる「活動」の場面を多様に作り出していくことが最も必要です。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
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