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通知表所見・懇談会に活かせる!子どもの様子を見取るポイント
立命館小学校山田 航大
2024/7/1 掲載

子どもの様子を見逃さない観察力


 毎日の学級経営の中で、子どもたちは色んな姿を見せることでしょう。褒めたくなるような姿もあれば、叱りたくなるような姿もあり、本当に様々な様子を教師として見ているはずです。だからこそ、いかに教師が観察をしているのかがとても重要になってきます。ついつい、指導したくなる姿、子どもばかりを見てしまっていることはないでしょうか。どの子にも、成長の手がかりになるような姿が必ずあります。それを見逃さないように観察眼を働かせることを、忘れないようにしたいものです。

観察する視点は誰も見ていないような子どもの姿


 授業中に光る発言をしたり、みんなの前で学級の手伝いや友達の手助けをしたりする姿というのは、多くの人の目に映りやすいです。子どもたちからも、その姿を認めてもらうことはたくさんあるでしょう。「〇〇さんはとても頑張り屋さん」「〇〇さんは学習面で頼りになる」など、子どもたちも、互いにどのような長所を持っているのかを知っていることが多いです。しかし、そうした姿以外にも、活躍している様子はきっとあります。

  • 誰もいない教室でサッと椅子を机の下に入れてから帰る姿
  • 教室に落ちていたゴミを何事もなかったように拾って捨てている姿
  • 授業中に発言はしないけれど、色んな子の発言を聞きながら頷いている姿

 こうした、決して目立った姿ではない部分を教師がどれだけ見ているのかというのは、観察力を問われるところです。
 そのためには、じっくり子どもを見る時間が必要です。掃除の時間や給食時間、休み時間など、仮に特定の子と話していたとしても、常に全体を見るような意識は持っておくべきです。そういう時間にこそ、子どもたちの素敵な姿が生まれています。

観察していたからこそ出てくる言葉


 子どもたちに指導をするべきタイミングというのは、年間を通して何度かあるはずです。そんな時に、観察していたからこそ見えた姿を引き合いに出しながら話をすることで、「あなたには良いところもたくさんあるんだよ」というメッセージを届けることができるのです。指導となると、つい悪いイメージが思い浮かびがちですが、子どもの姿を見ていた上での指導であれば、必ずその子にしかないエピソードを伝えられるはずです。そうした話をすることで、子どもの心もグッと動きます。個別に対話をする時間こそ、子どもを見取った上で確保したい時間であり、学級経営の核にもなると考えています。

所見や懇談会で伝える子どもの姿


 所見や懇談会などで伝える子どもの姿というのは、良い内容にしたいものですよね。個々に課題があったとしても、その部分を強調するのではなく、今後の期待を込めた内容にすることによって、子ども自身や保護者の安心につながることでしょう。ここでも、先に述べてきたような具体的なエピソードを盛り込むことによって、「先生はこんなところまで見てくれているのか」「自分のことをよく分かってくれている」といった信頼感を得ることにもなるはずです。

1on1によって子どもの姿を見取る


 教師として全体指導をする中で、個々の様子を見取る場面は必ず必要なはずです。しかし、その時間が充分とは言えないことも多いと思います。だからこそ、気づいた時に1on1という形で対話をすることで、子ども自身の本音が見えてくることでしょう。
 教室で1人の子どもを呼んで話をしようとすると、「怒られるのかな」という印象を持つ子が多いかもしれませんが、対話を繰り返すことによって、そうではないという認識が広がっていきます。「教師と子どもが対話する時間は、決して悪いイメージのものではない」と捉えられるからです。子どもの良さを知るためにも、効果的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

山田 航大やまだ こうだい

立命館小学校教諭。1993年、京都府生まれ。
2015年立命館大学法学部卒業。新採として京都市立桂東小学校に着任。3年間の経験を経て、2018年より立命館小学校に着任。
現任校に赴任後、20代からミドルリーダーとなる役職を担い、これまでにICT教育部長や学年主任,教科主任など幅広く歴任。
企業や専門家とも連携した実践を展開している。第37回東書教育賞では『子どもたちが社会に向けて提案する課題解決型学習の可能性』というテーマで優秀賞受賞。

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