- 『SCHOOL SHIFT』刊行特別インタビュー
- 教育学一般
人は誰でも、新しい技術を取り入れることに躊躇します。それは当然のことですが、現代社会においては、ある意味で、その技術と共存していかなければなりません。ある学校で 、これまでは紙のワークシートを配布していましたが、タブレットでクラウドにアクセスして記入することになりました。その時、先生は生徒たちに、「どちらでもいいですよ」「 紙かタブレットか選択肢が増えたのですよ」と言ったことを思い出しました。その通りなのです。デジタル化が進むということは、人にとって選択肢が増えること、つまり、自由度が増すことだと考えていただければと思います。
学校の先生方は当然ですが、是非読んで頂きたい方は、教育委員会の先生方です。教育委員会は、学校・地域・文科省などを結ぶハブのような役割を果たしています。国は今どこを目指しているのか、それをどのように学校や地域に伝えていくのかという立場です。私は、学校DXの中で、特に教育データ利活用について書きましたが、学校の先生方までは、なかなかその本質が伝わりにくいのです。できれば、この章をお読みいただき、先生方に分かるように、お伝えいただければと思います。
ChatGPTについては、ステークホルダーによって、見方考え方や活用の仕方も当然ながら違います。教育的観点から、私は情報活用能力の視点から捉えています。例えば、子供たちがWikipediaからの情報をそのままレポートにすることはほとんどないと思います。少なくとも引用をするはずです。他人の作品を自分の作品だと主張して提出すること、それは情報モラルや日常モラルの違反であることは、誰でも分かります。 正しく情報を扱い、正しく活用すること、つまり、情報活用能力に依存します。
私は、本書の「シフト」という言葉に惹かれています。 現代社会は、コロナパンデミックが収束したと思えば、大災害や大戦争が起きて、誰も将来を予測することができないVUCAの時代を実感します。誰も正確に予測できないのです。 そこで、本書の執筆者は、それぞれが専門の立場から、このように進むべきではないかという指針を提示いたしました。読者の皆さんは、それを参考にしていただければと思います。