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『SCHOOL SHIFT』刊行特別インタビュー(2)
新しい技術と「共存」する学校教育のために
一般社団法人 ICT CONNECT 21 会長赤堀 侃司
2023/7/28 掲載
  • 『SCHOOL SHIFT』刊行特別インタビュー
  • 教育学一般
新刊『SCHOOL SHIFT(スクール・シフト)』の刊行を記念した特別インタビュー。第2回は、Chapter1「学校DX」理論編を執筆された、一般社団法人ICT CONNECT 21会長 赤堀侃司氏にお話を伺いました。

赤堀 侃司あかほり かんじ

東京工業大学大学院修了後、静岡県高等学校教諭、東京学芸大学講師・助教授、東京工業大学助教授・教授、白鷗大学教授・教育学部長を経て、現在、(一社)ICT CONNECT 21会長、(一社)日本教育情報化振興会名誉会長、東京工業大学名誉教授、工学博士など。専門は、教育工学。最近の主な著書は、『AIと人間の学び』(ジャムハウス、2022)、『STEAM教育と俯瞰力』(ジャムハウス、2023)など。

―GIGAスクールの実現を皮切りに、今や学校教育にも次々と新しい「技術」の波が押し寄せているように感じます。シフトの只中にあって、いま、現場の先生方一人一人にとって必要なことは何だと感じておられますか。

 人は誰でも、新しい技術を取り入れることに躊躇します。それは当然のことですが、現代社会においては、ある意味で、その技術と共存していかなければなりません。ある学校で 、これまでは紙のワークシートを配布していましたが、タブレットでクラウドにアクセスして記入することになりました。その時、先生は生徒たちに、「どちらでもいいですよ」「 紙かタブレットか選択肢が増えたのですよ」と言ったことを思い出しました。その通りなのです。デジタル化が進むということは、人にとって選択肢が増えること、つまり、自由度が増すことだと考えていただければと思います。

―『SCHOOL SHIFT』では、「『教育活動』のSHIFT―学校DX」の章をご執筆いただきました。どのような方に読みいただきたいとお考えですか。

 学校の先生方は当然ですが、是非読んで頂きたい方は、教育委員会の先生方です。教育委員会は、学校・地域・文科省などを結ぶハブのような役割を果たしています。国は今どこを目指しているのか、それをどのように学校や地域に伝えていくのかという立場です。私は、学校DXの中で、特に教育データ利活用について書きましたが、学校の先生方までは、なかなかその本質が伝わりにくいのです。できれば、この章をお読みいただき、先生方に分かるように、お伝えいただければと思います。

―「学校DX」を考えるうえで、いまや無視できない話題の1つが、openAI社の「ChatGPT」に代表される生成AIツールの躍進です。7月4日には、文部科学省から小・中学生向けの暫定的なガイドラインも公表されましたが、先生は、学校教育における生成AIの活用はこれから、どのような「シフト」を見せていくとお考えでしょうか。

 ChatGPTについては、ステークホルダーによって、見方考え方や活用の仕方も当然ながら違います。教育的観点から、私は情報活用能力の視点から捉えています。例えば、子供たちがWikipediaからの情報をそのままレポートにすることはほとんどないと思います。少なくとも引用をするはずです。他人の作品を自分の作品だと主張して提出すること、それは情報モラルや日常モラルの違反であることは、誰でも分かります。 正しく情報を扱い、正しく活用すること、つまり、情報活用能力に依存します。

―最後に、『SCHOOL SHIFT』の読者に向けて、メッセージをお願いいたします。

 私は、本書の「シフト」という言葉に惹かれています。 現代社会は、コロナパンデミックが収束したと思えば、大災害や大戦争が起きて、誰も将来を予測することができないVUCAの時代を実感します。誰も正確に予測できないのです。 そこで、本書の執筆者は、それぞれが専門の立場から、このように進むべきではないかという指針を提示いたしました。読者の皆さんは、それを参考にしていただければと思います。

(構成:大江)
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