- 単元を貫く言語活動Q&A
- 国語
1学期は、子供たちが主体的に学習に取り組んでくれたことが一番の成果でした! でも、1学期を振り返ると、評価が難しかったことが課題としてあげられます。もうすぐ夏休み。2学期に向けてどんな準備を進めていけばいいのでしょう。
「子供たちが主体的に学習に取り組んだ」ということはとっても大きな成果ですね! 学習評価は、そうした子供たちのよさをもっと引き出すために大切な視点ですから、夏休み中に準備を進めていきましょう。
評価の基本は「目標に準拠した評価」です。つまり、その単元で指導する指導事項等が、子供たちにとってどの程度身に付いたのかを評価することが重要です。
漠然と「しっかり読み取る力」などととらえただけでは、指導も評価も曖昧になってしまいます。例えば物語文の単元で、「C読むこと」の次の指導事項を指導し、評価する場合を考えてみましょう。
ウ 場面の移り変わりに注意しながら、登場人物の性格や気持ちの変化、情景などについて、叙述を基に想像して読むこと。
オ 文章を読んで考えたことを発表し合い、一人一人の感じ方について違いのあることに気付くこと。
この指導事項をさらに重点化することで、何を指導し、評価するのかがはっきりしてきます。
例えば、ウでは「登場人物の性格」を主体的にとらえて読む能力、オでは「一人一人の感じ方」の違いに気付いて読む能力に重点を置くなら、その能力を指導し、評価するのです。
指導事項を指導し、評価することが評価のポイントなのですね。でも…、「登場人物の性格」って、どうしたらとらえられるのですか。「登場人物の気持ち」とはどこがどう異なるのですか。
「登場人物の気持ち」は、絶えず変化して描かれることが多いものです。それに対して、「登場人物の性格」は、ストーリー展開全体を通して、安定的に、かつ多面的に描かれることが多いものです。
ですから、「登場人物の性格」を把握するためには、一つの叙述、一つの場面だけを読むのでは足りません。つまり、「この場面でこう言っているから、こんな性格」とだけとらえてしまうと、一面的なとらえ方にとどまりがちです。そこで、「登場人物の性格」がよく表れている言動を複数指摘して、「ここではこんなことを言っているし、ここではこんな行動をしているから、こんな性格だ」というように押さえられるようにするとよいでしょう。評価の際にも、一つだけではなく、複数の叙述を指摘した上で、それに合う性格をとらえているかどうかが、評価規準となります。
「登場人物の性格」のとらえさせ方は分かりました。でも…、それを教師の指示通りに行わせると、子供たちの「この人物がお気に入り」「この人物の性格がおもしろく描かれていてもっと読みたい」といった主体的に読む態度がうまく引き出せなくなりそうです。
そこはとても大切な視点ですね。子供たちは、「大好きな登場人物」だからこそ、その性格を、多様な叙述を関連付けながら押さえようとするのです。学習指導要領に示す「紹介したい本を取り上げて説明すること」などの言語活動例を具体化した単元を貫く言語活動を通して指導することの意義もそこにあります。例えば次のような言語活動ツールを参考にして下さい。
緑色の枠線内のように、三つの叙述を取り上げて、大好きな登場人物の性格を説明するパーツ構造になっています。子供たちの読みの過程をこのように表出させることで、評価がとても行いやすくなります。(詳細は、『単元を貫く言語活動を位置付けた 小学校国語科 学習指導案パーフェクトガイド3・4年』を参照下さい。)
ここをチェック!授業改善のためのポイント
単元を貫く言語活動を授業に位置付けるには、次のポイントに留意しましょう。
- その単元で指導する指導事項をはっきりさせ、目標に準拠した評価を行えるようにしているか?
- 指導事項を基に、どのような読みができればよいのかを明らかにしているか?
- 単元を貫く言語活動を位置付けることで、子供の主体的な読みを表出させ、評価しやすくしているか?