- 学級経営チェックポイント
- 学級経営
チェックポイント
- 何もしない時間をつくらない
- 予想させる
- 時間差を生かす
4月はクラスのルールや仕組みをつくっていく時期ですから、バタバタと過ぎていったかもしれません。ただ、5月の連休を過ぎても、まだ何だかクラスが落ち着かないようであれば、授業の構成や指示の仕方に改善点がある場合があります。
ここに挙げた3点はすぐにできて、即効性が高いものです。特に『時間差を生かす』は、そこを拠り所に学級をつくっていくこともできますので、ぜひトライしてほしいです。
何もしない時間をつくらない
クラスが落ち着かないパターンの一つに、早く終わってしまった子が自由に動き出してしまい、授業と関係のない騒ぎになってしまうというものがあります。「これが終わったら、これ」という明確な指示をしましょう。黒板にはっきりと書いておくとよいでしょう。
ただ、算数の練習問題を終わった子に新しいプリントを配ってしまうと、その採点をしなければならなかったり、またそれも終わってしまったりと、教師の手間が大きく増えてしまいます(手間が増えると、子どもも教師も時間や心の余裕がさらに確保できなくなります)。
そこで、「あ、から始まる言葉をできるだけ多く探そう」「自分で文章題をつくって解くことを繰り返そう」など終わりのない課題を出すとよいでしょう。また、読書活動は「静かに、一人で、座って」という約束を守らせることで、クラスに落ち着きを与えることができます。
予想させる
給食や休み時間などに、トラブルが多発することがあります。その場合には、事前に朝の会で「どんなトラブルが起きそうかな」と予想させるとよいです。
「給食の時間にうるさくなりそう」「歩き回る人がいそう」「ケンカが起きそう」などと予想できたら、それに対する対策を考えていくのです。そして、その対策を見えるように大きく掲示しておくのです。
こうしておくと、実際にことが起きそうになったときに対策を実行しようとする子が出ます。対策を行おうとする子がいなかったり、対策が不十分であったりした場合には帰りの会で振り返りを行います。
このような、うまくいった部分とそうでなかった部分の振り返りはとても重要です。朝の会で考えたことが、帰りの会で妥当だったのかを考察する。その繰り返しだけでも、子どもたちの将来につながる課題解決力を大いに刺激することができます。それがクラスの安定にもつながります。
時間差を生かす
『何もしない時間をつくらせない』で、早く終わってしまう子が自由に動き出してしまう、と書きましたが、そうであるならばそれを生かしてクラスをアクティブに変えていく方法も有効です。
子どもたちに伝える言葉はシンプルで「ちょうどいいヒントを出そう」です。
例えば、算数であったら、問題を解けた子がまだの子に「ちょうどいいヒント」を出すために歩き回るのです。ここで、「ちょうどいいヒント」でなく答えを言ってしまったら、教わる方は勉強になりません。また、教える側も「ちょうどいいヒント」を出すことで体系的な理解、相手意識、コミュニケーション力など将来に渡る多様な感覚を身につけることができますが、それが失われてしまいます。「教えることは相手のためにもなるが、むしろさらなる自分の成長のために大切」だと理解させることが肝要です。
特に、動きたい子にとっては、この指示は大きな効果を生みます。「たくさんの人にちょうどいいヒントを出して、たくさんの友達を助けてあげて!」というミッションを出し、「すごい! また友達を救っている!」と認めることで、大いに活躍してくれるでしょう。動きたい子は、合法的に動けてなおかつそれが全体のプラスになることで自己肯定感が満たされ、安定していきます。
ただ、ここで考えておきたいのは教わりたくない子の存在です。まず、「教わりたくない場合は、机の上に消しゴムを立てておいてね」と指示し、じっくり自分で考えられる環境があることを明確にしておきます。これがないと、学力差や生活力差が明確になりすぎたり、スピードがすべての価値観に傾いたりしてしまいます。ただ、「すべて一人で取り組む」になってしまう弊害も考えさせ(子どもからは「コミュニケーションを鍛えられない」「お家で勉強しているのと同じになる」などの意見が挙がりました)、バランスを見ていきたいです。
教科学習に限らず、生活場面でも「ちょうどいいヒントを出そう」を使うことで、クラス(全体)のことを主体的に考える力にもつながっていきます。