6月は11月に次いで学級の荒れが多く起こる時期であると言われています。4月の出会い、5月の行事(運動会・家庭訪問等)の時期を経て、親しい友達ができ、気心がしれる時期なので、安心して自分の個性が出始める頃でもあります。この時期は、個と個のぶつかり合いが頻発するようになり、感情をコントロールすることが不得手な子がいる場合には、コミュニケーション能力を育て、社会性を培うことが求められます。「相手に分かりやすく伝える」ことで、「友達と上手にかかわるスキル」を身に付けさせたいと思います。
カウンセリングで取り組まれる積極的傾聴法として「シェア(心情面での振り返り)」「要点をつかむ(主訴)」「開かれた質問による明確化」を活用した取り組み例を紹介します。
伝え方名人になろう
1ねらい
友達とのトラブルで「互いの気持ちがうまく伝えられずに起きること」があることを知り、友達と上手にかかわるためには、相手に分かりやすく伝える技術を身に付けることが大切であることに気づくことができる。
2活動T <シェア(心情面での振り返り)>「話す順序」を意識する・しない
問題の意識化
- トラブルの原因は何かを振り返る。
- 伝えたいことがうまく伝わらないために起きたことを取り立てて確認する。
@「先生からの伝言」をクラス全員に伝える際、意識しないでする。
※《シナリオ例》Aさんがけがをした(事実)ので先生が保健室に連れて行く(理由)、着替えが終わったら静かに教室で本を読んで待っている(指示)。
- 代表児童がロールプレイし、その様子から、気づいたことを発表する。
A順序を意識してロールプレイし、その様子から、気づいたことを発表する。
3振り返りT <要点をつかむ(主訴)>
@話す順番を意識しない、A話す順番を意識するの二つのロールプレイから、相手に分かりやすく伝えるにはどのようにしたらよいかの視点で、気づいたこと、感じたこと、提案したいこと等を振り返り発表する。
- 出されたことを元に、自分だったらどのように気を付けたいかを自己決定する。
4活動U <開かれた主張による明確化>「伝え方名人」を目指して
- 振り返り(自己決定したこと)を元に、「分かりやすく伝える」ためのポイントを全員で確認し、ペアになってロールプレイする。
※例示している「事実―理由―指示」だけではなく、「大切なこと(指示)を先に言い、理由を後に述べて、さらに大切なことを述べる」「結論から先に述べてその理由を後に述べる」等、学年の実体や発達課題等により、「自分の気持ちを分かりやすく伝えるスキル」に結びつけていくと良い。
- 「伝え方名人」になるためのポイントを元に、いろいろな友達とペアになって最近読んだ本か最近観たテレビ番組について紹介する。
5振り返りU
- 「伝え方名人」になるためのポイントを元に、活動Uが活動Tとどのように違っていたか、子どもたち自身から出た気づきや感想、実感したことを発表しあう。
月ごとに紹介していただけますか。ぜひ続けてください。