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web連載をご覧の皆様方、新年あけましておめでとうございます。今年もこのweb連載のご愛読、実践の追試、ご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。
さて、この原稿がアップされる1月10日ともなれば、全国どの地方でも新学期が始まっている頃と思います。3学期制のところはそれぞれの学期の始め、つまり1年に3回スタートが存在します。これは、仕切り直しができるよい機会でもあります。
かといって、何もかも刷新すればいいというものでもありません。特に3学期ともなれば、子どもに力がついてきて学級の仕組みもうまく回っていれば、大きな修正をする必要はありません。しかし、うまくいっているということは、3学期、その安定した土台の上にさらに上乗せした力を付けられる大切な時期でもあります。
今回は、3学期に心機一転、係や当番活動を決める時に役立つ情報をお届けしましょう。
「係活動」と「当番活動」は何が同じ?何が違う?
学級経営をする中で、考え方をきちんと確認しておかないと、本当に大事なことを伝えられなくなるポイントがいくつか存在します。その中の1つが、この「係活動」と「当番活動」の違いです。
新学期など、新しく学級の組織を決め、動いていく時や、係活動の動きがにぶくなった時に、このことを押さえておかないといけません。
係活動は「自分が学級のためにしたい仕事を自ら進んですること」であるということです。この「したい」という思いの深さ、強さを最大限、学級がよくなることにつなげなければもったいないです。
よく、黒板にこれまで経験、存在した係名をずらっと書き、その係ごとの人数を先生が決めて、その係員を決めていく姿も目にしますが、これは決めていく過程で自分がやりたくない係になった時、それはその子にとって「係活動」から「当番活動」になったことと同じ心の状態になっていることに気がつかないといけません。
ときにはかたよってもOK!「やりたい」を大切にする「係活動」
では実際に係活動はどのように決めるのでしょうか? 以下ご紹介します。
【係活動の決め方】
@ まず、自分がやりたい活動を発表、黒板に板書する
このときは、一応全員にやりたいことを聞いて、クラスのためになると思える活動ならどんな活動でも肯定して、その思いをほめてあげます。
例えば「ダンス係…朝の会などで踊って、みんなを元気づけたいです」というものも、「みんなを元気づけたいというその気持ちは素晴らしい!」といってほめ、係として位置づけます。
A 次に、その中から自分がやりたい係名のところにネームプレートなどをつかい、だれがどの係をしたいのか分かるようにする
人数のかたよりはここではふれません。極端な例、全員が保健係を選んでいても、それはそれでOKです。
B ここで子どもを揺さぶる
「今、クラスのためにやりたいことを選んでもらいましたが、人数が多い係について説明します。このままでもよいです。しかし、保健係をクラスの全員が選んだらどうなるか考えてみましょう。20人いたら、例えば健康観察の仕事は毎日しますが、20人一緒にはできないので、毎日交代で順番にすることになります。そうすると、やりたい仕事を20分の1しかできないことになります。それでもよい、クラスのためにそのくらいの仕事で自分は満足できるという人は、このままでよいです。でも、これじゃ物足りない、もっと役に立ちたいと思う人は、次にやりたい係を選ぶか、まだここには出ていない新しい係を作るか、考えてください」
そうすると、ほかの子の様子を見ながら、係を変えていく子が何人か出てきて、結果バランスが取れてきます。かたよりがあったとしても、そのかたよった状況を経験させるのも大事な配慮です。
C 全員の希望が決まったところで、希望のなかった係について確認をする
「音楽係と、体育係の希望者がいなかったので、今回はこの係はありません。でも、朝の会で音楽をかけたり、体育の時間にみんなの前で体操をするのは必要です。この仕事はしたい人がいなかったので、みんなで平等に順番にやっていくことにします」
D その後、新しく決まった係ごとに、係の目標、係長、仕事の確認などを紙に書いて掲示できるようにしておく
集団で過ごすための「責任」と「義務」が必要な「当番活動」
では、当番活動はどうでしょうか? 先ほど係活動を決める時にその定義が出ました。Cで述べた、「クラスのために、みんなで平等に順番にやっていく」活動になります。クラスでの当番活動を考えてみると、(1)給食当番 (2)掃除当番 (3)日直が、その三本柱になると思います。学校全体の当番活動を考えると、「委員会活動」がそれにあたります。
この活動が、仕事内容、回数、頻度において平等になるよう仕組んでいかないといけません。例えば、給食当番で、1年を通してある子だけ重い牛乳を運ぶ回数(日数)が多かった、掃除当番で、ある子だけトイレ掃除の回数(日数)が多かった、などというかたよりができる仕組みはよくないということになります。
係活動を決める時、希望がなかった係の活動は、毎日の生活の中で必要なものはすべて「日直」の仕事にして、みんなで順番に平等にやっていきます。
ときおり、この当番活動に対して手を抜いたり忘れる子がいます。そんな時は、この決め方を持ち出せば、どんな子だって納得します。「クラスのためにみんなで順番に平等にやっている活動をしないというのは、やりたいことをする係活動とは違い、そこには責任と義務があります。みんなのために活動できない人はその集団で過ごす権利がありません」
ここでリーダーの出番!
そうはいっても、ある事情でその当番活動ができないケースが出てきます。例えば骨折をしてギブスをしているため、給食が運べない、掃除のぞうきんがけができないなどが考えられます。
この時、先生が「怪我の○○くんは給食が運べないので、かわりに△△くん、運んでもらっていいかな?」と提案してもよいのですが、このリーダー選びの仕組みで選ばれたリーダーであれば、その子に任せることができます。
「リーダー、怪我の○○くんは給食が運べないので、どうしたらいいか考えて決めてください」
この一言ですみます。
ここで、「では、リーダーのぼくがします」と言えば、さらにリーダーとしての信頼が増します。
「当番なので代わりにやる人も順番に平等にした方がよいと思います」。これも正論なのでみんなも納得してやれます。
「△△くん、きみにお願いします」。実は、これもこの仕組みではOKなのです。リーダーとして信託されたこの発言は決定権があります。よいリーダーだと、これで言われた方も納得です。そこまで人望がなければ、この一言がきっかけでリーダーが変わることになります。
次回は、このリーダー選びのしくみによって、当番活動が係活動に変わっていくミラクルを紹介します。
- 本連載で紹介の「多段階信託変更リーダー選出システム」の集計サイト「アースリーダーズクラブ」
http://www.earth-leaders.com/