著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
さぁ、音楽を聞きに行きましょう!
東京芸術大学講師青島 広志
2007/3/9 掲載
 今回の著者インタビューは、TVでお馴染みの音楽家、青島広志先生にご自身が厳選した名曲50曲をわかりやすく紹介した、新刊『ブルー・アイランド名曲事典 運命からピーターと狼まで』について伺いました。

青島 広志あおしま ひろし

※写真提供:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
1955年東京都生まれ。東京芸術大学および大学院修士課程(作曲)を首席で修了。これまでに作曲した作品は200曲に及ぶ。ピアニスト・指揮者としての活動も30年を超え、最近ではコンサートやイベントのプロデュースも数多くこなしている。テレビ朝日「題名のない音楽会21」ではブレーンを務める。
東京芸術大学、都留文科大学、都立芸術高校講師。日本現代音楽協会、作曲家協議会、東京室内歌劇場会員。

―クラシック音楽、というと堅苦しいイメージを持つ人も多いかもしれませんが、テレビやステージで先生を拝見すると、クラシック音楽がとても楽しいものに見えてきます。クラシック音楽を楽しむコツを是非、教えてください。

 何と言っても、演奏会に行くことです。それも、あまり大きな会場でなく、演奏者の息づかいや視線が感じられるような環境だといいですね。また、知り合いの人が出演していると、更に興味が増すでしょう。つまり、始めは音楽を理解しようなどと考えず、演奏を一種のスポーツととらえ、その動きを見て、自分にできないことをしている、と感心するところからだんだんとファンになっていただけると嬉しいです。何百枚のCDや放送を聞くより、実演です。演奏者はあなたのためだけに演奏しているのですから。

―そんなクラシック音楽を楽しむ際にも本書は役立ちそうですね。「名曲事典」ということですが、これまで色々存在している解説書との違いは何でしょうか。

 これまでの解説書は、その多くは音楽評論家が書いたもので、音楽用語が不用意に使われている感じがありました。当然、知っているはずだと思ってしまうのですね。そこでこの本は、仮にそういう言葉を用いるとしても、必ず注釈を加えて疑問を解いています。また、直接演奏に立ち合った人でないとわからない曲の仕掛けや、楽しさ・難しさにも触れています。著者の私は、決して第一級とは思いませんが、すでに35年以上も、ピアノ・指揮・演出などで活動を続けているのですから。

―本書には、作曲家のイラストがたくさん入っているのも楽しいですね。これは先生ご自身が描かれたそうですが、昔からよく、絵を描かれていたのでしょうか。

 私は、小さい頃から何か書(描)くことが大好きでした。そのうち、文と絵は物心つくころからだったと思います。曲は知的な作業をともなうので、小学3年生のときが初めてでしたが。とくに絵は、ファンタジックな事柄を自由に表せるのが好きでした。でも始めのうちは、描いちゃいけないと思っていたことが多くて…… 私は妙に道徳的な子供だったのです。そんな目を開いてくれたのは少女マンガでした。私のイラストは少女マンガの面影があります。機会があったらカラーの絵も見てくださいね。

―先生は、子供向けのコンサートを開いたり、学校などで教えていらっしゃいますが、子供に音楽を教える時にどのような工夫をされていますか。

 まず、曲にはどれも作曲者がいるということを知らせるべきでしょうね。それが芸術作品に興味を持つ、大切にするといった態度につながります。それから、なるべく物語や、わかり易い描写が含まれた曲を聞かせ、やさしく解説してあげましょう。そして、本人が興味を感じたら、実際の演奏にし向けてもいいのですが、これはあまり無理強いせず、本人がやめたがったら、それで終わらせていいのです。別に音楽だけが最高の趣味ではありませんし、音楽好きな人をしいたげるような大人にならなければいいのです。

―現在先生は、演奏、執筆、絵、教育、テレビ…とさまざまな場面で活躍されていますが、今後もますます忙しくなりそうですね。

 お陰で、忙しくさせていただいています。音楽家はこれが一番なのです。締切や本番があるたびに、新しい発見や勉強、ときに復習ができますから。どの分野の仕事もありがたいのですが、やはり一番嬉しいのはステージでの演奏・出演ですね。テレビやラジオも嬉しいですけれど、やはりお客さんが居て、即座に反応してくださるのが最高です。放送ですと、放映日にこちらは違う仕事をやっていますものね。でも、どんな仕事でも結局は自分につながって来るので、この忙しさがいつまでも続けばいいな、と思っています。
 本書の続編にも取りかかっていますので、こちらもぜひご期待ください。

(構成:木村)

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