- 著者インタビュー
- 音楽
何と言っても、演奏会に行くことです。それも、あまり大きな会場でなく、演奏者の息づかいや視線が感じられるような環境だといいですね。また、知り合いの人が出演していると、更に興味が増すでしょう。つまり、始めは音楽を理解しようなどと考えず、演奏を一種のスポーツととらえ、その動きを見て、自分にできないことをしている、と感心するところからだんだんとファンになっていただけると嬉しいです。何百枚のCDや放送を聞くより、実演です。演奏者はあなたのためだけに演奏しているのですから。
これまでの解説書は、その多くは音楽評論家が書いたもので、音楽用語が不用意に使われている感じがありました。当然、知っているはずだと思ってしまうのですね。そこでこの本は、仮にそういう言葉を用いるとしても、必ず注釈を加えて疑問を解いています。また、直接演奏に立ち合った人でないとわからない曲の仕掛けや、楽しさ・難しさにも触れています。著者の私は、決して第一級とは思いませんが、すでに35年以上も、ピアノ・指揮・演出などで活動を続けているのですから。
私は、小さい頃から何か書(描)くことが大好きでした。そのうち、文と絵は物心つくころからだったと思います。曲は知的な作業をともなうので、小学3年生のときが初めてでしたが。とくに絵は、ファンタジックな事柄を自由に表せるのが好きでした。でも始めのうちは、描いちゃいけないと思っていたことが多くて…… 私は妙に道徳的な子供だったのです。そんな目を開いてくれたのは少女マンガでした。私のイラストは少女マンガの面影があります。機会があったらカラーの絵も見てくださいね。
まず、曲にはどれも作曲者がいるということを知らせるべきでしょうね。それが芸術作品に興味を持つ、大切にするといった態度につながります。それから、なるべく物語や、わかり易い描写が含まれた曲を聞かせ、やさしく解説してあげましょう。そして、本人が興味を感じたら、実際の演奏にし向けてもいいのですが、これはあまり無理強いせず、本人がやめたがったら、それで終わらせていいのです。別に音楽だけが最高の趣味ではありませんし、音楽好きな人をしいたげるような大人にならなければいいのです。
お陰で、忙しくさせていただいています。音楽家はこれが一番なのです。締切や本番があるたびに、新しい発見や勉強、ときに復習ができますから。どの分野の仕事もありがたいのですが、やはり一番嬉しいのはステージでの演奏・出演ですね。テレビやラジオも嬉しいですけれど、やはりお客さんが居て、即座に反応してくださるのが最高です。放送ですと、放映日にこちらは違う仕事をやっていますものね。でも、どんな仕事でも結局は自分につながって来るので、この忙しさがいつまでも続けばいいな、と思っています。
本書の続編にも取りかかっていますので、こちらもぜひご期待ください。