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国語や社会で調べ学習やまとめをする活動があります。特に近年増えてきました。教科書で「新聞にしましょう」「番組をつくりましょう」「ウェブをつくりましょう」「班でまとめて発表しましょう」など簡単そうに書いていますが、実は教員の多くはこれがとても苦手なのです。できればまとめを簡単に済ませたい、そんな思いはあちこちで聞かれます。壁新聞は、班でつくるのにちょうどよいサイズで、掲示物としても観衆効果は高く、社会や国語のみならず理科や総合的な学習の時間、児童会の広報など使い道は無限に広がります。学び合いや班学習をすすめる学級には本当に効果的なツールになります。
壁新聞専用の用紙を使うことです。それと、レイアウト用紙で位置決めと文字数合わせをきちんとすることです。さらに、班の人数に合わせてレイアウトできたら、それを切り取って個人用に分割することです。こうすることで班の誰もが同じ労力で作業でき、全体のレイアウトもきちんと組め、見通しをもって壁新聞づくりに取り組めるのです。
高学年を持つと、「これは壁新聞に使えるな」と学校であったニュースも記者の目で見ることができるようになります。限られた字数の中で伝えたいことを書き、学習した漢字を使い、段落を組ませることで文章力をつけることができます。他の児童の文章を見て評価したり、すてきな見出しやイラスト、最適な写真の貼り付けに感動することができるようになります。社会見学や学校行事の際には「新聞にまとめるだろうな」とあらかじめ記事の制作を念頭において取り組むことができ、しっかりと反省ができるようです。
はじめからすべてを子どもにさせようとすると、いい形にならなかったり、子ども同士が責任を押し付け合いうまくいきません。題字やリード文、編集後記やヘッダなど、共通する内容は担任が書き、それをコピーして貼り付けるなどの「手抜き」をすることで、創作意欲が高まることもあります。上手になってきたら、徐々に全部を任せるようにするのがいいでしょう。年度のはじめに「○○新聞」と題打って「第○号」と号数を伸ばしていくと「はやく○○号に到達したい」と意欲を持って書いていくことでしょう。
学習指導要領も改訂され、「学び合い」「伝え合い」が強調されています。班で取り組む活動は多く、その大半はやりっ放しではなく、最後のまとめを求められます。通常、まとめの活動は、やる子とやらない子の仕事量の差がなかなか大きく、担任泣かせの作業でした。しかし、本書に書いた手法を用いることにより、誰もが均等に時間内でできる新聞づくりをすることで、まとめの時間が短縮され、効果的効率的な学習が展開されることでしょう。シリーズの新聞をつくることでその手法を子どもたちが学び、まとめが楽しくなる効果があります。最初は少々面倒くさいこともありますが、何号か積み重ねることにより確実に簡単に出せるようになります。教室が、クラスが変わっていくのが目に見えてわかります。ぜひ本書を参考にして、壁新聞づくりに挑戦してください。