いじめ問題に取り組み続ける先生方へ
2012/4/9 掲載
- 著者インタビュー
- 学級経営
今回は菅野 純先生に、新刊『いじめ 予防と対応Q&A73』について伺いました。
―本書は、好評をいただいている『不登校 予防と支援Q&A70』の姉妹編となりますが、本書のねらいと活用のポイントについて教えて下さい。
実際の学校現場でいじめ問題に出会った時や指導に行き詰まった時に、少しでも先生方のヒントになればと思っています。学校現場の先生方やスクールカウンセラーの先生方にも協力をいただいて可能な限り多くの問い(Q)に応えるようにしました。また、解答は見開き1Pに収まるようにしました。問題の発見と対応を少しでも早く行うためです。
―U章ではいじめの「予防」について取り上げられています。学級づくりにも関わってくる部分で、SSTやエンカウンターなどにも触れられていますが、そのポイントについて教えて下さい。
いじめはいかなる集団でも起こるわけではありません。逆に集団によっては常にいじめが生じている場合もあります。いじめが起こりにくいクラスの雰囲気や人間関係づくりがいじめ予防にとって大きな影響を与えるのです。SST、エンカウンターといった具体的な方法で予防的な雰囲気作りを目指して欲しいと思っています。
―W章では、近年特に問題となっている「ネットいじめ」について扱われています。ネットいじめに立ち向かう際に、大切なことは何でしょうか。
ネットいじめといって、特別なもの、解決が難しいものと考えないことが大事です。従来行われてきた、いじめの発見、対応、指導の知恵の中にネットいじめの解決のポイントが沢山含まれていると思います。それらを再確認できればというふうに思っています。
―X章では、ケース検討として、不登校・発達障害・精神障害・学業不振などにかかわる具体的な事例をもとに、実際の対応例があげられています。そのねらいについて教えて下さい。
現代のいじめは不登校、発達障害等の問題と密接に関わりを持っています。それらの問題のどのようなところがいじめを誘発し、指導上何に留意すべきかを問題別に検討することが必要です。本書では可能な限り具体的な事例をもとに考え、現実に学校現場で起こっているいじめへの対応に役立てればと思います。
―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。
いじめ問題の頻発や困難さを前に先生方が無力感に陥ることもあるかもしれません。本書の最大の目的は先生方自身の中に蓄積された〈教育知〉を最大限に活用していじめ問題に取り組まれることを願っている点です。本書がヒントとなって先生方の問題解決力が発揮されることを心から願っています。
(構成:及川)
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