- 著者インタビュー
- 学級経営
初任の頃、私は学級経営にとても苦労しました。多くの本を読んだり、先輩達から学んだりしていましたが、常に手探りで、行き当たりばったりの学級経営でした。そこから、学級を経営する上での視点をもつべきだと考えるようになりました。視点をもつことで、「ここを直そう」とか「ここは違うな」と省察したり、修正したりできると考えたのです。
横浜市の野中信行先生や、早稲田大学の河村茂雄先生に学びながら、考えたのが、SRRC=Gと名付けた次の5つの視点をもつことでした。
G:ゴール…クラスの目標や願い・思い
S:システム…クラスを動かす仕組み
R:ルール…クラスの約束
R:リレーション…クラス内の関係づくり
C:カルチャー…クラスの文化・雰囲気づくり
この5つを意識し、どこに力を入れていくかを考えていくことで、学級経営を省察できると考えました。とくに、「自分はこの5つの視点でどこにこだわるのか、どこをこだわりたいのか」を考えることで、より自分にあったクラスづくりができるようになるのではないかと思います。
伝え続けることだと思います。
クラスの在り方や目標を子ども達に語り続けることです。しばしば、このことを忘れてしまったり、いい加減になっていたりするからです。
しかし、ゴールが教師としての思いでもあります。伝え続けるということが大切なのだと思います。
まず、子ども達にとって、クラスにとって何が必要かを考えることが大切です。
4月のはじめに、どうしても「あれもこれも」となりますが、何よりもまず優先順位を決め、定着させていくことが重要です。
この質問は難しいですね。定着しないからこそ「指導」は存在すると思います。私が尊敬する、故家本芳郎先生は、「指導」とは「納得」であると述べています。でも、なかなか簡単にうまくはいかず…、そこに教育する意義がありますね。子ども達が納得し、「さあ、やろう」と思うようなしかけが教師には必要なのだと考えています。
私は社会科が専門なので、最近は、ワークショップで社会科を学習することができないかと張り切って取り組んでいます。もちろん全てがそうした授業になるわけではありません。しかし、子ども達が動き、汗をかき、たくさんしゃべり、熱くなるような授業を一つでも多く創り出していくことで、子ども達の関係や文化は高まっていくと考えています。
ただ、最も取り組んでいる活動といわれると、実はあまりないというのも答えです。
つまり、関係づくりや文化づくりは、すぐにできるものではありません。私の場合は、「書く」ことを学級活動や学級文化の中で大切なものとして位置づけています。子どもも私もたくさん書いて、伝える。そうした活動を繰り返しています。特効薬はありません。しかし、続けていくことで、漢方のようにじわじわと効いてくると思います。リレーションもカルチャーも続けることが大切ですね。
肩肘をはらずに、楽な姿勢でいきましょう。張り切るけど無理はしないという意識が大切だと思います。また、読者の皆様の周りには実は多くの「学級経営名人」がいます。ぜひ隣の席の先生から学ぶことを続け、自分の学級を省察してみてください。そして何よりも大切なことは、「続ける」ことです。
無理なく効果的に「続ける」ことをめざしていきたいですね。
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