- 著者インタビュー
- 道徳
「特別の教科 道徳」における中心的な教材として発行された『わたしたちの道徳』は、学校で広く活用されはじめている。今、求められているのは、その『わたしたちの道徳』をどのように活用したならば道徳教育の充実のつながるかということです。とりわけ、実践に基づいた指導に参考となるような例示があると、より一層充実したものとなってくるであろうと考えます。本書では、研究的に日々の道徳授業に取り組んでいる先生方の実践をまとめたものです。多くの先生方の参考となるような実践例が紹介されています。
『心のノート』は、授業の導入や展開、そして終末にと各段階において広く活用されてきました。しかしながら、ノートという言葉が示すように、どうしても副教材的な活用が主となっていたことは否めません。全国の児童生徒が、道徳授業において常に傍らに置き、学習に活用できるものはできないか、ということで生まれたものが『私たちの道徳』です。これは、道徳授業において中心的な役割を果たすことが期待されているのです。
効果的な活用のポイントとなるのは、各学校における年間指導計画の作成です。『わたしたちの道徳』を中心に置きながらも、これまで活用してきた副読本、さらには地域を素材にした郷土資料等をも視野に入れながら年間指導計画を作成し、それに基づいた実践を積み重ねていくことが大切です。
基本的にはこれまでの授業と大きく変化するということはないと思います。改訂案で示された「特別の教科 道徳」の目標を見ても「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」ということですので、内面的な資質を育む姿勢には変わりはないと考えます。ただし、これまでやや心情に偏りすぎていた指導方法を多様に工夫することや全体計画との関わりをさらに深めていくことが必要となってくると思われます。
どんなに時代が変わろうと、学校教育において子どもたちの心を豊かに育むという目標は変わりはありません。心を豊かに育む中心的な役割を担う道徳教育、そしてその要としての「特別の教科 道徳」を充実していくことは今後も重要視されてくることだと思います。子どもの心を耕す授業を『わたしたちの道徳』を活用して実践していきましょう。