- 著者インタビュー
- 授業全般
子どもたちの様子、特に視線です。子どもの視線は子どもたちの授業へのかかわり方を映し出します。教師を見ているようでも形だけで、実はただ前を見ているだけということもあります。これは、教師が移動した時に視線が動かないことでわかります。これでは、教師がどんなによい話をしていても意味がありません。
また、友だちの発言に対して発表者の方を向いているかも気になります。友だちの発言を聞こうとしないのであれば、教室でみんなと一緒に学ぶ意味はありませんね。
子どもに自分の求める答えを言わせようとすることが気になります。求める答えと違っていると、「他には?」と否定しないまでも、すぐに他の意見を求める。逆に、求めている答えに近いと、「そうだね、○○さんが言ってくれたように、……」と続けて、子どもが言っていないことを勝手に足したり、自分に都合のいいように言い換えたりする。これでは、子どもたちは自分の考えを持とうとせずに、教師の求める答えを探そうとしてしまいます。
この本で取り上げている授業のケースと似たようなことが、自分の授業でも起こっていないか想像してもらいたいです。その上で、どこに問題があるか、どうすればよいのか考えてみてください。まずは自分の授業を振り返るきっかけとしていただければよいと思います。授業を振り返るなかで、自分で改善策を見つけられることもあるかもしれません。
この本ではいくつかの改善策が書かれていますが、それらを全部やろうとする必要は全くありません。1つでもいいので、「なるほど」と納得したことを試してみてください。
まずは、授業中いつも笑顔でいることから始めてください。例え間違った答えやピント外れなことを言っても、教師が笑顔で受け止めることが、子どもたちが安心して参加できる授業の基本です。
また、子どもたちのどのような姿が見たいかを具体的にし、それを意識して授業をすることも授業改善への近道です。意識をすることで子どもたちの姿が気になり、しっかりと見ようとします。求める姿とずれていれば、自然に授業を工夫するようになり、改善されていくはずです。
授業改善は肩肘張ってあれやこれやと試したり、いろいろと悩んだりしなければできないものではありません。先生方一人ひとりは素晴らしいものを持っています。ちょっとしたヒントやアドバイスがそれを活かすことにつながり、結果として大きく改善するのです。この本には、今まで多くの先生方に授業を見せていただき、アドバイスした経験から見つけた改善の秘訣をたくさん載せています。きっと皆さんの授業改善のヒントやきっかけになることが見つかると思います。