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最大の特徴は豊富な実践例です。導入方法から、音読の基礎基本、発展まで200近くのネタやコツが載っています。本書があれば、1年間楽しみながら音読実践を継続することが可能になります。
本書のねらいは、どのクラスでも音読のよさを味わえるようになることです。より楽しく、よりためになる音読実践が日本中の教室に広がっていくことを期待しています。初任から音読実践をしてきて、音読のよさと難しさを体験してきました。「何から始めればいいの?」「「どうやって高めるのか?」「熱中する音読実践は?」「読まない」「声が出ない」「時間がない」「継続がたいへん」など、様々な困難を乗り越えるためのヒントをまとめました。
「学級づくり」と「授業づくり」です。音読によって活力や一体感、そして規律が生まれます。これらは学級づくりに直結します。また、音読は、基礎学力の中心であり、すべての学習活動のベースとなります。全員参加の授業づくりに欠かせません。
高学年の場合は、説明するよりも引き出すことをおすすめします。
「どうして1年生の頃からずっと音読をしてきたのだろう?」
「一生懸命音読したらどのような力がつくと思う?」
「音読をパワーアップさせるにはどうすればいい?」
などのように、質問します。
説得されると時に反発心を生みますが、自分で考えたことは行動したくなります。子どもたちから出されたアイデアは掲示して、折に触れて振り返るといいでしょう。振り返る際は、「みんなの言っていたとおり○○だね」と、できたことの承認として活用します。
あと、最近は「音読するとモテるんだよね」と話をすることもあります(笑)。「メラビアンの法則というのがあって、人の印象の38%は聴覚的情報つまり声の出し方で決まりまるそうです。いい声だと40%ぐらい好感度アップになるんです。じゃぁいい声は何かと言うと(1)力のある声(2)よく通る声(3)明るい声(優しい声)の3つです。音読するとどれがよくなりそう。うんそうだね。3つとも、特に1、2はよくなるよね。がんばって声出すとモテる声になるんだね。将来テレビに出たいと思っている人や、人前に立つなどビッグになりたいと思っている人、モテたいと思っている人はおすすめ。音読はそのためのトレーニングになるね」
速音読です。速音読とは、『声に出して読みたい日本語』(草思社)で有名な明治大学教授の齋藤孝先生の提唱されている読み方で、指定された範囲をできるだけ速く読む音読です。範囲を指定し読み終わったら「ハイッ」と手を挙げます。タイムを伝え、スペースに記録を書きます。
音読をゲーム感覚で楽しめます。読む度に記録が更新され、成長を実感できます。速く読むことで、普通の速さを読む時に余裕がでてきます。脳科学的にも速音読は前頭前野を活性化させる度合いが高く、短い時間で集中力や学習意欲を引き出せることがわかっています。
二人読み速音読や、斉読速音読や、点丸読み速音読など、様々なバージョンが楽しめます。
音読は学級づくり授業づくりにとても有効な手段ですが、クラスによって音読がすぐにハマる場合もあれば、なかなか上手くいかない場合もあります。すぐに機能せず、年によっては4月からはじめ12月末になってやっと軌道に乗ったこともあります。
ポイントは「あせらない」ことです。上手くいかないと不安になったり子どもを叱責してしったりすることになりがちですが、どうすれば「楽しめるか」をベースに気長に取り組みます。音読のよさや楽しさを子どもたちが実感できたら一気に変わります。その時までは、子どもたちの様子を見ながら試行錯誤です。壁にあたったときはぜひ本書を参考にしてください。
最後に簡単に音読実践を高めるコツは、クラスだけで行うのではなく、学年単位や学校単位で行うことです。隣のクラスから音読が聞こえてくるとそれだけで子どもたちはやる気になります。また見合いをすると、それだけで一気によいレベルに合わせて子どもたちは成長します。ぜひ、学年や学校内のお仲間の先生と一緒に音読実践に取り組んでみてください。困った時はお互いにアイデアを出し合い、協力して乗り越えていけます。お誘いのコツは、隣のクラスの先生に『音読指導入門』をプレゼントすることです(笑)。一校一冊ではなく、ぜひ一教室に一冊『音読指導入門』が願いです。
音読は教育をもっと楽しくします。ぜひ一緒に音読実践を広めていきましょう!