- 著者インタビュー
- 学級経営
子どもが集まる学級に、トラブルはつきものです。トラブルの中で、子どもは様々な経験をし、学んで成長していきます。ですから、トラブルが起きないように「転ばぬ先の杖」で防ぐのではなく、些細なトラブルであれば、見守りながら子ども自身に解決させるように導いていくことが大切だと考えています。
自身の経験を振り返ると、トラブルが起きたときほど、解決するために真剣に考えて、全力で行動していたのだと思います。そして、トラブルを解決する度に、力が付いていくのを感じました。自身の経験によって得られる「本物」の力です。子どもも人間ですから、私と同じなのではないかと、考えるようになりました。それが、「トラブルはチャンスだ」と、子どもに身をもって伝えたいと思うようになったきっかけです。
子どもが「本気」になる活動を仕掛け、その中から子どもの「本音」を引き出すことです。本音を出しているときの子ども達は、自我と自我をぶつけ合います。その中から、友達も自分と同じく、意見を持ち感情を備えた人間なのだと、身体で実感することができるようになります。そして、互いを尊重し合うことができるようになっていきます。最初はケンカばかりという事になるかもしれません。しかし、真剣になって「闘う」からこそ、相手を対等な人として認め合うことができるのです。そこからが、スタートだと考えています。
進んでこちらから声をかけることです。そして、相手が保護者なら、子どもの様子を伝えたり聞いたりします。地域の方なら、最近の学校の様子を伝えます。ほんの一言で十分です。しばらくすると、相手から声をかけてくれるようになってきます。ここで注意しなくてはならないことは、生徒指導上の課題や、個人に関わる情報、仕事に対する不平や不満などを、うっかり口にしないようにすることです。保護者・地域の方とは、「広く浅く」「深入りをしない」ことが鉄則です。
昔担任した子どもや保護者と連絡をとる度に、教師という仕事の素晴らしさを改めて感じています。学校生活を共にする時期は限られていますが、学級担任は、教師であるあなた自身にとっても、子ども・保護者にとっても、一生忘れられない存在になります。時には、苦しみ悩むこともあるでしょうが、振り返ってみれば、それらの日々は、人生の大切な宝物として輝きを増していきます。教師人生を終えたとき、「充実した半生だった」と、自身に胸を張ることのできるようにしたいものです。そのためにも、今というときを大切にして、全力で子どもにぶつかってほしいと思います。