著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
司書教諭として、教職員・子供と学校図書館をつなぎましょう!
放送大学客員准教授塩谷 京子
2017/3/2 掲載
今回は塩谷京子先生に、新刊『司書教諭の実務マニュアル シオヤ先生の仕事術』について伺いました。

塩谷 京子しおや きょうこ

静岡市に生まれる。静岡大学教育学部卒業、静岡大学大学院情報学研究科前期博士課程修了、関西大学大学院総合情報学研究科後期博士課程修了、博士(情報学)
静岡市小学校教諭・司書教諭、関西大学初等部(中高等部兼務)教諭・司書教諭を経て、現在、放送大学客員准教授、関西大学文学部非常勤講師。

―本書は、『司書教諭の実務マニュアル』というタイトルの通り、司書教諭の仕事をするうえで欠かせないポイントが網羅されている1冊だと思います。はじめに、司書教諭の仕事の概要と魅力を教えてください。

 司書教諭の仕事の対象は、教職員と子供です。教職員・子供が学校図書館や図書館資料を活用できるようにする、つまり、教職員・子供と学校図書館をつなぐことが、司書教諭の仕事です。つなぐためには、職員会議での提案、学習活動や読書活動の支援、環境整備などを計画的に進める必要があります。計画、そして提案・実施を通して、子供はもとより、教職員とも深く関わっていくことが、司書教諭の仕事の魅力でもあります。

―第1章では、4月から3月まで、その月ごとの仕事内容とポイントが書かれています。新年度に本書を手にされる方も多いと思うのですが、4月にまず何をすればよいのか、あらためて教えてください。

 学校図書館は、子供にとって豊かな感性と知的好奇心が刺激される空間です。司書教諭はそのことを常に念頭に置くようにしたいものです。4月、子供は、新しい教室、友達、先生に出合います。期待と不安が交錯した時期でもあります。このような時期に、学校図書館で、ホッとしたり、好きな作家や知識にわくわくしたりできたら、嬉しいですね。

―第2章と第3章では、図書館整備や授業との関連の仕方などに言及いただいています。司書教諭は、学級担任と兼任で仕事をしている場合がほとんどで、多忙の中でなかなか図書館整備がうまくいかない…といった方もいるとお聞きします。仕事がうまく周るコツなどがあれば教えてください。

 すべての司書教諭は、司書教諭である前に、担当している授業を組み立て、生徒指導や生活指導を日々進める教員です。一つの単元を見通したときに、学校図書館を活用したらより子供が目を輝かせ意欲的に学ぶ時間はどこだろうかと、考えてみてください。目の前の子供には、どんな本を出合わせたいのかと想像してみてください。その延長線上に、全校の児童生徒がいるのです。児童生徒を教える教員がいるのです。目の前の子供と、全校の子供は、別々ではありません。

―ところで、先日、学習指導要領改訂案も発表されました。司書教諭として、チェックしておくべきポイントは何でしょうか?

 言語活動は、さらに重視されます。子供が主体的に学ぶために、図書館資料が整備されている学校図書館を、授業の場として選ぶ教員が増えてくるでしょう。そのとき、学校図書館が教室の延長線上であったら、授業がしやすいですね。授業時間は限られています。いつも当たり前に活用している教室にある設備は、学校図書館でもあってほしいと思いませんか。ひとクラスの子供分の机椅子、ICT環境、ホワイトボードなど、授業ができる環境をぜひ、考えてみてください。

―最後に、新年度から司書教諭の仕事をされる読者の方にメッセージをお願いします。

 司書教諭の仕事を始めるということは、全校の教職員や子供に関わることです。関わりを通して、司書教諭自身の見方・考え方も広く・深くなっていきます。それは、自身の授業づくりにも跳ね返ってきます。ぜひ、意欲的に関わりをもってくださいね。

(構成:茅野)
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