- 著者インタビュー
原:明確にお伝えしたいのは、本書は「叱る」ということを否定しているわけではない!ということ。
「叱る」ということは、目的ではなく手段の一つだということです。大切なのは、「何のために叱ろうと思ったのか?」「どう伝えることがその子の心に届くのか?」という目的やその想いを私たちが忘れないことだと思っています。
私たち大人の本当に伝えたいメッセージを、「どのようにして子どもたちに、『伝わる』ように『伝える』とよいか?」そのための一つのご提案です。
原:コーチングとは自立を促すための対話技法の一つです。タクシーに乗ると、「○○の場所まで、○○のルートでお願いします!」というように、行きたい場所(目的地)や行き方は一人ひとり異なります。どこに行きたいかは、引き出していく必要があります。コーチングも同様に「その子は本当はどうしたいのか?」を発見し、「そのためにどのルートがよいか?」実現方法を考え、「進みにくくなった」ときに解決をサポートする手法です。プロの相談相手というのがコーチです。
庄子:叱るということは、教師の主観です。それをしてしまう児童にも、さまざまな理由があるのだと思います。「しっかり考えているから友達と話していた」「授業のことを考えて絵をかいていた」「いつもよりとてもがんばっていたのに」「何度も直そうとしているけれど、直らない」「ちょっとぼーっとしていただけ」
こんなとき叱ることは、子どもの成長を妨げ、かつよい学級づくりにもつながらないと思っています。叱りたい気持ちの裏に何があるのか考え、それを伝える。例えば、将来が心配だから叱っているとしたら「君のこんなことが心配なんだ」と叱らずに伝える。その行為を繰り返すことが大切だと思っています。
庄子:予想以上の答えを聞けたときですかね。コーチングは基本、こちらの考えを押し付けるのではなく、相手から引き出す手法です。こっちが予想をしていないような答えがどんどん出てきます。子どもと話をすると、子ども自身が答えを見つけるので、子どもの自己肯定感が上がります。それが一人ではなく学級全体になれば、おもしろい化学反応を起こしていきます。毎日見ているからわかる喜びですね。
庄子:まえがきに書いた通りですが、叱ることを悪いとは思っていません。私も一日一回は叱っています(笑)。でも、確実に叱る回数は減りました。先生方もぜひ数えてみてください。10回は軽く叱っています。ノートに記入していくと、自分が叱る傾向がわかります。それが少しでも改善できたら、きっとクラスは劇的に変わります。そんなきっかけの本にしていただいたらうれしいです。教師のための本ですが、コーチングに興味のある方や、今はやりの「アドラー心理学」を学びたい方にもぜひ読んでほしい本になっています。よろしくお願いします。
原:学校の中で。お子さんとの対話の中で。スポーツ指導や塾の中で。様々な場面で本書が力になることを願っています。
子どもと接するときに、一人で悩んだり、抱え込んだりしてしまうこともあるかもしれません。だからこそ、この本には、読んだだけで元気になれるメッセージをたくさん盛り込みました。子どもたちの未来は無限大。その一方で子どもと接するのは責任やプレッシャーもかかってきます。どうか忘れないでくださいね。私たちは大切な子どもたちと関わるあなたの味方ですから!