著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
今からはじめる「英語で行う」授業づくり
山口県山口市立鴻南中学校又野 陽子
2017/9/26 掲載
今回は又野陽子先生に、新刊『はじめてのオールイングリッシュ授業』について伺いました。

又野 陽子またの ようこ

山口市立鴻南中学校教諭。山口県生まれ。山口大学教育学部卒業。山口大学大学院教育学研究科修了。広島大学大学院教育学研究科文化教育開発専攻博士課程後期修了。博士(教育学)。
<著書>A study on the acquisition of English function-chains: A focus on Japanese EFL learners. Hiroshima: Keisuisha. 2007.
<論文>“Analysis of junior high school students’ performance in function-chain recognition using factor analysis and Hayashi’s quantification model V.” ARELE (全国英語教育学会紀要), Vol.11, pp. 71-80. 2000年8月. 他多数。

明治図書・教育Zineにて『目指せ!オールイングリッシュ授業』を好評連載中。

―新学習指導要領では英語の授業は英語で行うことが基本とすることが明記されました。ズバリ、英語で授業を行う魅力を教えてください。

 英語による指示、依頼、許可、賞賛等を生徒が日本語を介さずに理解し、英語で反応することができていれば、そこには教室内での本当の意味でのコミュニケーションが成立しています。
 また、発話を学習者にとって理解可能なインプットにするための工夫(具体例、繰り返し等)を取り入れながら行う英語の授業は、生徒にとってのわかりやすい授業づくりにもつながるものだと思います。教師が繰り返し話す英語を生徒が自然に覚えて使用している姿に触れることも喜びの一つです。

―英語で授業(オールイングリッシュ授業)に、はじめて取り組む先生は、まず何からはじめればよいのでしょうか。

 授業の流れに沿って使用できるフレーズを場面ごとに整理して、授業の中で使用していきましょう。本書には場面別基本フレーズを収めていますので、必要な場面を参照できます。繰り返し同じ場面で使用することにより、生徒も英語の指示と場面をセットにして反応することができるようになると思います。
 また、教材研究を行う中で生徒の理解を助けるような手立てを考え準備することも求められます。「英語で授業」を支えるさまざまな工夫も紹介していますので参考資料となれば嬉しく思います。

―本書は主に基本フレーズと活動アイデアで構成されています。基本フレーズはどのように活用すればよいでしょうか。

 本書の基本フレーズは、日頃の授業での必要な声かけがすぐに英語でできるように複数のALTと協力して作成しています。例えば「bは右向き、dは左向き」「runはnを重ねてing」…といった説明も、簡単な英語で表現できます。
 「ほめる」場面では英語の賞状も紹介しています。答え合わせの際の生徒同士のやり取りやリーダーの生徒による号令等、生徒の教室英語も収めていますので、生徒の英語の発話を増やすことにもつなげることができると思います。

―同じく活動アイデアはどのように活用すればよいでしょうか。

 本書では、文法事項と教科書本文両方の指導の基本的な流れと、その流れに沿った具体的な指導の工夫を紹介しています。文法事項導入後の練習方法やキューの出し方、指示を出すためのハンドジェスチャー、リーディング・タスクや振り返りシート等、実際に筆者が日々の授業で使用してきたものを収めています。
 また、教室内のインタラクション(教師と生徒、生徒同士のやり取り)の例を収めていますので、実際の説明や指示、応答等を具体的にイメージすることができると思います。

―最後にオールイングリッシュ授業づくりに取り組む全国の先生方に、メッセージをお願いします!

 英語の授業を英語で進める取組は、たくさんの魅力と可能性を秘めていると思います。生徒にとってより魅力的な授業をつくっていくことができるよう、生徒が英語に触れる環境を整えていきましょう。リズムとテンポ、そして勢いのある授業を生徒とともにつくっていきたいものです。そして英語力、授業力ともに高めていくことができるようにつねに研鑽を積み、教師自身が英語を使うモデルとして、生徒にとっての憧れを育んでいくことができれば素敵なことだと思います。

(構成:広川)

コメントの受付は終了しました。