著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ありがとう!があふれるあたたかいクラスをつくろう
千葉県八千代市立勝田台小学校河邊 昌之
2017/9/28 掲載

河邊 昌之かわべ まさゆき

昭和54年8月31日生まれ。
日本体育大学体育学部武道学科相撲専攻卒業。
現在、千葉県八千代市立勝田台小学校に勤務。
相撲四段、柔道初段、剣道1級。
小学生時に地元の船橋大神宮で開催されている相撲大会に出場し、相撲の面白さを知る。中学、高校、大学、社会人と相撲を続ける。

―先生のクラスは落ち着いてあたたかく、子どもたちが互いに感謝するとのこと。その柱にある「感謝教育」とはどのようなものなのでしょうか?

 学校には、自分とは違う才能を持ったたくさんの仲間がいます。私が考える理想的な学校生活は、仲間のよさを認め合い、励まし合い、応援し合いながら共に切磋琢磨する姿です。理想的な学校生活を送るのに必要な根本的な柱が「感謝」だと考えます。「〇〇してくれてありがとう」この言葉が教室内で自然と飛び交うようになれば、温かい雰囲気が教室に生まれます。感謝の気持ちを一人一人が持って、生活し合うことの大切さを小学生のうちに経験することが重要だと考えます。

―先生はなぜ、「感謝教育」をはじめられたのでしょうか?

 幼児は「やだ」「〜したい」「〜がほしい」と否定や欲望を満たそうとする言葉を誰が教えたわけでもなく、自然と発します。しかし、「ありがとう」などの感謝の言葉はしっかりと教わってきた子どもは言えますが、しっかりと教わっていない子どもは、言えないことに気がつきました。友達から何かしてもらったときに、黙っている子に対して保護者や先生がすかさずに「ありがとうでしょう」と指導する場面をよく見ます。感謝は教え、意図的に実生活で活用させていくことが、小学校の段階では必要であると考えました。

―先生が本書で紹介くださっているあたたかで落ち着いたクラスをつくるためのアイデア……大作戦が本書ではたくさん紹介されていますが、中から1つ特におすすめのものを簡単に紹介いただけないでしょうか?

 一人一役の係活動を見直したことです。学級をみんなでよくするために働く「学級づくり」という名の時間を毎日つくりました。そこでは、自ら気がついて学級の活動を行います。活動を行うときは必ず教室の中にいる仲間に「〇〇します」と宣言をします。
 例えば、「黒板をもっときれいにします」と誰かが宣言をしたとします。その宣言を聞いた仲間は、「ありがとう」か「手伝います」などの返答を必ず言うようにしました。すると、学級に「ありがとう」が響くようになります。学級をみんなでつくる雰囲気が生まれてくるのです。

―「感謝教育」を始められてからクラスの子どもたちはどのように変わってきたのでしょうか?

 感謝の気持ちは数字では表せませんが、子ども同士の繋がりが強くなったと思います。また、何事においても挑戦する子どもが増えてきました。その理由として考えられるのは、教室内に否定的な言葉が減り、肯定的な言葉を自然と発する子どもが増えたからだと思います。学級を自分たちでつくる意識が高まり、所属感も生まれてきました。

―「感謝教育」に興味をもってくださった先生方にメッセージをお願いします。

 学校における「不易流行」とは何かを常に考えています。感謝の気持ちを育むことは、いつの時代も変わらないことだと思います。しかし、その手段はその時代その時代で変わってくるものだと思います。これからも多くの先生方から学び、自分に何ができるかを考えていきます。よろしくお願い致します。

(構成:佐藤)

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