- 著者インタビュー
- 音楽
数年前に全国の仲間たちと立ち上げた研究会が「音楽授業ラボラトリー研究会」です。子どもにとって音楽とは何か、次の新しい時代にマッチした音楽授業のあり方はどのようなものかを探る研究会です。本書を執筆してくださったのは、本研究会の講師として登壇してくださった先生、そして私の研究仲間たちです。それぞれお得意な分野があり、その道のプロ!と言われる先生たちばかりです。
「ファースト」とは、「第一」ということです。つまり「子ども第一」ということです。ややもすると、音楽の授業は教師が目指す音楽表現だけを追求したり、この音楽はこう表現するものだと決めつけたりするなど「教師ファースト」あるいは「音楽ファースト」に陥りやすいのです。そうではなくて、学習の主体である子どもが主人公になれる授業のあり方を日々実践されている先生方なのです。だから書名にもこの言葉を入れたいと考えました。
誰でも、自分の苦手なことや初めてのことにチャレンジするのは尻込みしてしまいます。しかし、はじめの一歩さえ踏み出せば、思わぬ成果を生み出すことも少なくありません。「案ずるより産むが易し」です。音楽の授業も同じです。私自身苦手な音楽の分野があります。でも、エイッ!とダメもとでトライしてみる。自分が思っているよりも、自分の苦手さが子どもに伝わっていないことに驚くことがあるくらいです。ぜひ「はじめの一歩」を!
話せる音楽教師が学校にいないことも多いですよね。それならば、同じ学校の先生、誰でも構わないから授業の相談をするべきです。実は、専門教科が別でも、授業のつくり方や子どもの見方などは共通している部分が多いのです。私は、今の学校に赴任して国語や算数の先生方からもたくさんの授業のヒントをいただきました。もちろん音楽の先輩や仲間からも多くを学ばせていただいています。が、これは面白い!と思える授業アイデアは、むしろ他教科の先生から多くを学んでいるような気がします。
本書が、幾ばくかでも先生方を元気づける、勇気づけるきっかけとなればこの上ない喜びです。音楽とは、本来楽しいものですよね。今よりもちょっとだけ楽しい授業に、ちょっとだけ子どもに寄り添った授業にするためにぜひ本書をお役立てください。そして、この本に出ているアイデアをどんどんアレンジして、新しいご自分の授業スタイルをつくってください。新しいアイデアができたら、ラボラトリーの研究会に来てそれを共有させてください。研究の輪を広げていけたら、全国の子どもたちがもっと幸せになれますよね。