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「はじめの一歩」編は、学校にGIGAスクール構想の1人1台端末が揃ったタイミングでの発刊で、ICTを活用した基本的な社会科での活用を学年、単元ごとにご紹介しました。今回の第2段は「実践編」です。1人1台端末が揃ってから1年が経ち、「何となく使ってはいるけど…」という声も聞こえてきます。ただ使うだけではなく、1人1台端末の活用で,社会科において子どもたちのどんな資質・能力を育成させるか、社会科の「スキル」ごとに実践例をまとめています。
そうなんです。社会科で身につけるべき「スキル」は多種多様なんです。でもICT機器を「使うことありき」で授業を計画すると、資料をモニターで大きく提示しよう、端末で学習をまとめようぐらいのことしか思いつかないことが多いです。大切なことは、子どもたちにどんな力を身につかせ、育てたいのかということ。そのためにICTをどう活用すれば効果的な活用ができるかを考えることが大切なのです。
各自治体で1人1台端末の持ち帰りがはじまっていると思います。家庭に通信環境がない場合は「モバイルルーター」の貸し出しなども行っています。まずは自治体間で差がつかないように行政側で調整するとして、学校側の責任としては「情報教育カリキュラム」の作成があります。どの学年でどのような「スキル」「モラル」「リテラシー」を身に付けるかを教員間で共有することで、子どもたちの能力の差も縮まっていくはずです。また、保護者とカリキュラムを共有することでご家庭での情報教育の意識も高まります。
私が活用しているアプリでお話させてもらいますと、子どもたちの端末の画面をリアルタイムで一覧表示する「授業支援アプリ」には「スクールタクト(コードタクト)」、「スマイルNEXT(ジャストシステム)」、「MetaMoJi ClassRoom(MetaMoji)」、「ムーブノート(Benesse)」などがあります。子どもたちが手元で調べたWeb サイト、画像、動画などをスライド化し、整理や分析ができるのが「ロイロノート・スクール(LoiLo.inc)」です。また、協働で同時編集ができ、文章の縦書きも可能なので、新聞づくりなどに最適なのは「コラボノート(JR四国コムウェア)」ですね。他にドリルアプリと言えば、「eライブラリーアドバンス(ラインズ)」」で、解説教材が充実しているので、家庭学習にも活用できます。
本書の「おわりに」でも書きましたが、これからZ世代の先生たちが現場にどんどん増えていきます。ICT活用も難なくこなすことでしょう。しかし、一方で子どもを見取る、見抜く、見守る目はベテランの先生にはかないません。ベテランの経験と、若手のICTスキルがうまく融合する現場のOJTを組織が作り上げていくことが大切だと感じています。