著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「発問」は、「令和の時代の国語授業」でも超重要!
山梨大学教育学部附属小学校橋 達哉
2022/6/24 掲載
今回は橋達哉先生に、新刊『国語授業が変わる!発問大事典』について伺いました。

橋 達哉たかはし たつや

山梨大学教育学部附属小学校教諭。山梨大学教育学部非常勤講師兼任。韮崎市立韮崎北東小学校、富士吉田市立明見小学校を経て、現職。日本授業UD学会常任理事、全国国語授業研究会理事、山梨・国語教育探究の会代表、全国大学国語教育学会会員、日本LD学会会員。

―まずは、本書刊行の経緯について教えてください。どのような課題意識から、この企画は生まれたのでしょうか。

 大学院生の頃から、ずっと関心を持って研究しているのが「発問」です。長崎伸仁先生、桂聖先生のもとで学び続けてきました。本書で紹介していることは、お二人の先生に教えていただいたことばかりです。令和の時代の国語授業においても、「発問」は、国語授業の成否を分ける重要な鍵の一つだと考えています。クラスの皆が参加できる発問子供の多様さが生きる発問子供の思考が活性化する発問子供の発見を支える発問など、子供たち一人一人の学びのペースや個性を生かしながら、協働的に学びを練り上げる授業を目指すための発問を多数紹介し、先生方の国語授業改善のお役に少しでも立ちたいと考えました。

―本書には、68の汎用性の高い発問パターンと、教材別に合計184もの発問モデルが収録されています。これらを読者にどのように活用してほしいと思いますか。

 本書の特色の一つが、発問とセットで「指導内容」を示していることです。単にたくさんの発問のアイデアを羅列しただけでなく、「何を読み取る際に有効な発問なのか」「どんな力をつけることにつながる発問なのか」を丁寧に解説しています。国語授業は指導内容が曖昧になりがちです。本書で紹介している発問を、授業の活性化のためにご活用いただくことはもちろん、指導内容が明確な国語授業をつくるためにご活用いただけたら嬉しいです。

―量だけでなく質の面でも「最強発問」がつまった1冊だと、編集者として思っているのですが、先生はどのようなことをポイントに発問づくりを考えていますか?

 最も意識していることは、「直接問わない」ということです。例えば、文章に書かれていること(内容)について確認したい時には、「○場面(○段落)には何が書かれていますか?」とは問いません。「一番〇〇なものは?」のような、文章に基づきながらも、子供たちそれぞれの感じ方や考え方、生活経験などが生きる発問を行い、その話し合いを通して内容の確認をするようにしたいと考えています。文章の書かれ方(表現)についても同様です。着目を促したい表現を取り上げて、「なぜ、このように書かれているのですか?」とは問わないようにしています。「一番〇〇なものは?」「この表現は、別の表現だったとしてもいいですよね?」と仮定的に問いかけることで、その表現の良さに子供たち自身が気づくことができるようにしたいと考えています。

―学校では1人1台端末の利活用も増えています。発問の観点から、ICT活用の際に気をつけることがあれば、ぜひ教えてください。

 「選択型の発問」に対する話し合いにおいて、ICTの活用が効果的です。例えば、提示した四つの場面の中から「がまくんが一番嬉しかった場面」を選ぶことを促す発問(「お手紙」)。ロイロノート・スクール等で、全員の回答をスクリーンに一覧表示することで、学級の誰がどの立場を選んだかという思考の可視化が容易になります。立場や感じ方の違いに気づき、違いがあるからこそ意見を聞き合おうと、子供たちが学習活動への必然性を実感することにつながります。

―全国の国語授業に携わる読者の先生方へ、一言メッセージをお願いいたします。

 本書で紹介している発問パターン発問モデル、そして各教材の指導内容は、一つの例に過ぎません。本書をご活用いただきながらも、ぜひ、先生方が担任されている子供たちの姿から、授業づくり、発問づくりを考えていただけたらと思います。

(構成:木山)

コメントの受付は終了しました。