- 著者インタビュー
- 特別支援教育
診断の基準を見れば、対人コミュニケーションの困難や、様々な変化への柔軟な対応が難しいことがあげられるかと思います。ただ、これらの困難さは、まったく一人で生活していく上では、当事者にとってはあまり困難とは認識されていないのではないかと思います。社会との接点が増える中で、それが生きていく上で大きな困難へと繋がっていく。そういう意味で、障害のない人達との間の相違(ズレ)が引き起こす障害ともいえます。
人口の1%といわれていますし、それ以上という報告もあり、増加しているといわれています。教員生活を続けていれば、いずれ出会う可能性がある障害といってよいかと思います。この障害は、重い知的障害を伴う人たちもいれば、非常に高い知的能力を示す人たちもいます。また、ある時期までは目立たなかったものが、周囲の子どもたちの発達的変化や、社会の変化の影響を受け、より顕在化していくこともあります。中には大人になるまで、自身の障害に気づかずにいたという話もあります。
成人の自閉スペクトラム症の方と話していると、本人は困っていなくても、周囲から様々なことを指摘され、障害への気づきを促されてきたというケースが少なからずあります。ただ当の本人たちに話を聞くと、周囲にとっては困ることでも、彼らには「それ」をする理由がちゃんとある。つまり双方で、相違(ズレ)ている。この相違(ズレ)について、伝えられないかと思い、今回書かせてもらいました。相違(ズレ)がわかれば、相手にだけ変わることを求めるのではなく、まず私たち自身で変われることもあるのではないかと思っています。
本書は、私が出会った自閉スペクトラム症の人たちの話をもとに創作した、私の中の自閉スペクトラム症の「子どもたち」の語りです。そして、私の仲間でもある「先生」たちの話をもとに創作した、私の中の「先生」たちの語りです。
でも「どこの教室の中にもある話」として感じてもらえるのではないかと思います。
なぜなら、「自閉スペクトラム症の子どもたち」と、「先生たち」の相違(ズレ)を読み解くために、連日連夜、試行錯誤を繰り返した私自身の語りは、創作ではないからです。私の目に映った「教室の中の自閉スペクトラム症」が、皆さんに届くことを願っております。
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