- 著者インタビュー
- 授業全般
最近の子どもたちがいわゆる「座学」に向かないということもありますが、基本的には「学力」と「人間関係」とを保障できると考えているからです。これからの子どもたちはたいへんな時代を生きていくことになります。問題解決能力の高さと豊饒な人的資本をもたないことには生きていけません。その意味で、AL型授業は大きな力を発揮すると考えています。
一斉授業がいつでも教師が介入できる授業形態であるのに対し、AL授業はインストラクションで最後までを見通した説明・指示が必要になります。それがなかなかに難しい。世の中ではALの方が一斉授業よりもやりやすいと考える向きがありますが、それは間違いです。課題の質、フレームの説明、方法の説明、更には学習の意義など、教師の高いメタ認知能力が必要とされます。
これからの子どもたちにとって、「答えのない課題」と真摯に向き合える資質をもつか否かは死活的な問題です。就職した若手教師さえ子どもたちや保護者への対応、職員室の人間関係に戸惑って泣き言を言っているくらいですから(笑)。そうした「答えのない課題」に対して、他者と協力しながら問題解決していく資質と能力。それを培うのがAL型授業だと考えています。
世の中にはさまざまな学習ツールがありますが、それを使いこなすことが一人ひとりの子どもたちにとって有益であることは間違いないでしょう。ただそれには前提があって、「自分の頭で考える」という資質が身についている必要があります。
自分の頭で考えられない者に「個別」も「最適」もあり得ません。その意味で、教師の最も大切な仕事は、子どもたちに「自分の頭で考える」という習慣を醸成していくことだと考えています。
ALの流行はもはや終わったと感じている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、「総合」や「道徳」がそうであったように、「GIGA」も「主体的に取り組む態度」も一時の流行に過ぎません。ほんとうに機能させられるか否かの勝負は、実はそれがあたりまえとなり、その概念の流行後に始まります。その意味で、ALの勝負所はまさに「いま」なのだと思います。本書をご笑覧いただければ幸いです。