きょういくじん会議
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グランドピアノ「フッペル」が伝える平和の授業
kyoikujin
2007/6/24 掲載

この画像はイメージです 20日の読売新聞の記事によると、国内で3台しか残っていないとされるグランドピアノ「フッペル」を使った特別授業が、鳥取県日野上小学校で行われたとのこと。

 「フッペル」ピアノは、ドイツの町工房での製作のため大量生産されておらず、国内には3台しか残っていないとされている。そのうちの1台が、日野上小学校の体育館にあり、現役で使われているのだ。

 「フッペル」ピアノをめぐっては、戦争にまつわるこんな歴史が残されている。

 昭和5年、佐賀県の鳥栖町婦人会が「子どもたちに本物の音楽を聞かせよう」と、鳥栖国民学校にドイツ製のグランドピアノを寄附した。現在では1億円相当の額を寄附金として集めたそうである。
 その後、太平洋戦争中の昭和20年に、出征を控えた特攻隊員2人が、「思い切りピアノを弾いて死にたい」と鳥栖国民学校をたずねてやって来た。彼らは音楽学校の生徒で、ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」を弾き、翌日、沖縄へ飛び立ったそうである。

 今回の特別授業では、元同校教師の三森不二夫さんが、「フッペル」ピアノで「感激の征途」という曲を演奏した。三森さんは、国内で3台目になる日野上小の「フッペル」ピアノを発見された方だが、実はこの「感激の征途」の曲は、三森さんが児童として日野上国民学校に在学していた頃の恩師、梅林強輔さんが、出征への思いを込めて書いた詞に、同校の音楽教師田辺重雄さんが作曲したもの。梅林さんは、昭和20年に、戦艦大和の乗組員として戦死している。

 戦後60年以上過ぎ、戦争を体験している方々も少なくなってきているが、「フッペル」ピアノは今後も、子どもたちに平和を伝えていくだろう。

※記事内容に一部誤りがございました。誤:佐賀県→正:鳥取県でした。お詫びして訂正いたします。(2007/8/27)

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
6件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/6/24 18:44:59
    戦争を知らない私たち世代がどう日本を作っていけるのでしょうか。
    右、左とかじゃない、新しい観点で話し合えたらと思います。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/6/26 18:36:49
    この戦時中の話、お芝居や物語にしたら、戦争の時代を知るためのいい教材になりそうですね。ここを見てらっしゃる劇団や作家のかたがいらしたら、いかがですか? (もうだれか考えてらっしゃるかな?)
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/6/26 20:54:11
    >2
    そういえばこの前の朝の連ドラもピアノに戦争ネタでしたね。ドラマではなかなか結婚できなかった桜子が、最近、あっさり結婚しちゃってビックリしたけど。
    • 4
    • 名無しさん
    • 2007/6/27 8:57:05
    出征前にピアノを弾きに来たという特攻隊員の話は、「月光の夏」というタイトルで映画になっています。
    私も中学の映画鑑賞で観ました。
    • 5
    • 名無しさん
    • 2007/6/27 10:17:56
    2です。4さん、情報ありがとうございます。
    • 6
    • 名無しさん
    • 2007/8/27 12:03:21
    このニュースですが、日野上小学校は佐賀県ではなく鳥取県です。コンサートの内容には誤りはありません。
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