きょういくじん会議
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小さな生態系「ビオトープ」を知ろう!
kyoikujin
2009/10/15 掲載
新装改題版 学校・園庭ビオトープ 考え方 つくり方 使い方

 先日毎日新聞で、全国学校ビオトープ・コンクールの現地調査が行われているという記事がありました。
 ところでみなさんは、「ビオトープ」をご存知でしょうか。ビオトープとは、簡単に言えば「いろいろな生き物が共存している場所」のことです。もともとは生物学の用語でしたが、最近では学校や家庭で作られた「人の手を加えなくても生態系が成り立っている」空間もビオトープと呼ばれています。

◎ビオトープとは?

 人工的にビオトープをつくる例として有名なのは、ホタルの生育できる環境を整えるための取り組みです。
 ホタルは、産卵するためのコケ類、成長するための適度な隠れ場所、さらに幼虫のエサとなるカワニナなど、さまざまな条件がそろわなければ繁殖することができません。またホタル自身の生育条件に加えて、コケ類が繁茂するためには自然の凸凹のある石、適度な隠れ場所をつくるためには緩急のある川の形状、カワニナが育つためにはカワニナのエサとなる珪藻類が、それぞれ連鎖的に必要になります。ある生物が生きていくためには、その環境まるごとを整えなければならないのです。
 しかし逆に考えれば、一旦環境を整えれば、コケ類・珪藻類→カワニナ→ホタル→ホタルの排泄物や死骸→コケ類・珪藻類…と鎖は循環していきます。このような、人間が手を加えなくても生態系が成り立っているある特定の場所を、ビオトープと呼びます。

◎学校ビオトープ

 生物それぞれのいとなみを身近に体験することができるビオトープは教育の場でも活躍しています。
 都市部での生活では、自然を肌で感じる機会はあまりありません。そのような都市部に住む子どもたちが、自然とふれあうための一つの手段として、学校の園庭で生態系をつくる「学校ビオトープ」が行われています。学校ビオトープは総合的な学習の時間の活動としても盛んに取り上げられました。
 先述した、日本生態系協会が1999年から隔年で開催している全国学校ビオトープ・コンクールにも、毎回多くの学校が参加しているそうです。今年の応募は締め切られましたが、現在行われている現地調査が終わってから、12月には結果が発表されるようです。全国の子どもたちががんばって手入れをした学校ビオトープをぜひ見てみたいですね。

◎ビオトープ・ガーデン

 ビオトープは小さなものなら自宅でも手軽に作ることができます。ビオトープがある庭のことを「ビオトープ・ガーデン」とも呼びます。
 ビオトープ・ガーデンとして最もポピュラーなのは、メダカを使ったもので、ビオトープ用の土と水生植物を植え、日の当たる場所に置いておけば、人間がエサを与えることなくメダカが繁殖します。自然とタニシやトンボのヤゴが生まれたりすることもあり、生態系の不思議を味わうことができるそうです。

 どんな小さな生き物でも、いのちが生まれる瞬間というのは、少なからず感動があるものです。ビオトープは庭の片隅やベランダでもつくることができ、自然を身近に体験するためには最適です。これを機会に、お子さんといっしょにビオトープづくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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