
- とっておきの授業スキル
- 生活
長瀬:第8回は、様々なセミナーをされ、低学年の指導でもご著書がある古川光弘先生です。どうぞよろしくお願いします。

生活科では、子どもたち自身の力で『学習課題』を生み出してほしいと願っています。ただ、それはなかなかできません。
本稿では、提示するだけで 自然に子どもが調べ始める教材を、第2学年の単元「やさしさがいっぱい!」をもとにご紹介します。
スキル1生活科は体験をもとにして考える教科。3学期の授業につながる体験を1学期から計画的に行っておこう!
『総合的な学習につながる生活科をどう創るか』という研究テーマのもとで、「やさしさがいっぱい!」という単元を開発したことがあります。一年間を通して、福祉的な視点で単元を構成したものです。
1学期には、校外学習を利用して、駅や大きな都市(姫路)において、みんなが楽しく暮らせる設備や工夫について調べていきました。
2学期には、身近な自分たちの町へ出かけ、同様のことを調べました。
そして、それらの体験をもとに、3学期には、自分たちの学校のことについて考えていったのです。
つまり、大きな都市 → 身近な町 → 自分たちの学校 という流れです。だんだんと身近なものへと迫っていきます。
スキル2学習課題が自然に生み出されるような展開を仕組もう!
さて、3学期の活動を行うに当たり、私が一番苦労したことは、学習課題が自然に生み出されるような展開を仕組むことと、学習活動に児童の思いや願いをうまく絡めていくということです。
そのために考えたのが、次の授業展開です。
まずは、子どもたちに問いました。
《第1問です。姫路の町に、スロープはありましたか?》
《では点字ブロックはありましたか?》
《では点字シールはありましたか?》
これらは、1学期に体験しているため、すべてに、「ありました」という解が出ます。
同様に私たちが住む三日月の町についても問うていきます。
こちらも2学期に体験しているため、すべて「ありました」という解に落ち着きます。
《それでは第3問です。三日月小学校には、スロープはありますか?》
●う〜ん、あったような……
《では点字ブロックはありますか?》
●これは、見たような気がするよ……
《では点字シールはありますか?》
●ないと思うよ……

ここまでくれば、自然と追究に火がつき始めます。この後は、何か言わなくても、子どもたちは学校中をすみずみまで徹底的に調べます。そして、点字シールは学校にだけないことをつきとめます。
その結果、これでは目の不自由な人が学校に来られたり、目の不自由な友達が転校してきたときに困るということで、「小学校用の点字シールを作ろう」という学習課題が無理なく生まれてきました。そして、実際に点字シールを作成し、学校中に明記しました。子どもたちは大喜びでした。
このように、子どもの追究に火をつけるためには、1学期から布石となる体験を意図的に積むことが大切なのです。
- 1学期から布石となる体験を積むこと。
- 学習課題が生み出される展開を仕組むこと。
長瀬:古川先生ありがとうございました。次回は国語科のとっておきスキルを横浜市の山田将由先生にご紹介いただきます。どうぞお楽しみに。