- 算数熱中授業づくり
- 算数・数学
熱中授業づくりのポイント
- 予想と現実のギャップで、問いを生み出す
- 情報の不足で、情報を収集する必要性を引き出す
- 情報の共通点を探る活動で、事象の本質を見いださせる
- 望ましくない方法を経験させることで、逆転の発想を引き出す
- 発展的に考える活動で、問題解決方法のよさを感得させる
1 予想と現実のギャップで、問いを生み出す
「場合の数」の導入で、コインを3回投げて、表が出たら1点、裏が出たら0点が加算され、その合計点を競うというゲームを行います。
コインを1回投げて表と裏が出る確率がともに1/2であることから、合計点数は平均的にばらつくと子どもは直感的に予想します。しかし結果は、0点と3点が少なく、1点と2点が多くなります。
このような、予想と現実のギャップが、コインの出方と点数に関係があるのではないかという問いを生み出すことになります。
T コインを3回投げ、表が出たら1点、裏が出たら0点です。
合計点を競いましょう。
(ゲームを行った後結果を示す)
合計点 | 0点 | 1点 | 2点 | 3点 |
---|---|---|---|---|
人数 | 4人 | 16人 | 15人 | 5人 |
2 情報の不足で、情報を収集する必要性を引き出す
1回のゲーム結果だけでは偶然かもしれないので、表裏の組み合わせにしかけがあることはみえてきません。つまり、問題を解決するために、不足している情報を収集する必要があるわけです。
T なるほど、確かにもう1回試してみないと偶然かどうかわからないよね。(もう一度ゲームを行い、結果を示す)
合計点 | 0点 | 1点 | 2点 | 3点 |
---|---|---|---|---|
人数 | 5人 | 16人 | 15人 | 4人 |
3 情報の共通点を探る活動で、事象の本質を見いださせる
情報を収集したら、次は情報の分析を行うことになります。この分析によって、事象の本質が発見されることになります。
上のやりとりからわかるように、情報の共通点を探ることは、事象の本質を見いだす行為そのものです。ですから、問題解決の授業では、情報の共通点を探る活動が生まれてくるような授業設計も重要になります。
4 望ましくない方法を経験させることで、逆転の発想を引き出す
起こりうる場合を整理して調べるための第一歩は、「固定して考える」という方法です。しかしこの授業では、その方法を子どもから引き出すために、最初はあえてコインの出方の探り方を委ねました。
人間は、望ましくない方法を経験することで、望ましい方法を自然と発想するようになります。このように、子どもたちにあえて望ましくない方法を経験させることで、逆転の発想を引き出します。
5 発展的に考える活動で、問題解決方法のよさを感得させる
見いだした問題解決方法のよさを感得し、その方法を活用できるようにするには、数や条件を変えるなど発展的に考える活動が有効です。
この授業で言えば、例えば、「じゃあ、4回ゲームをやったら…」と考えるといったことです。このとき、「3回の場合に〜通りだったから、4回だったら…」と既習との関連を明確にして考えさせ、方法のよさを味わわせます。