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子供のやる気と伸びを引き出す! 「水泳指導」の10大ポイント
東京都公立小学校教諭北川 修司
2017/6/15 掲載

1 マイスタート・マイゴール

 水泳系の運動では、個人の技能差が大きくあります。全員が一斉に同じことを学習するのではなく、個人の実態に応じて学習内容を変えていくことも必要です。マイスタートで始まり、マイゴールを設定して取り組むことが、やる気に大きく関わります。

2 友達と学び合う学習

 水泳というと個人技能の学習が多く、反復学習になりがちです。しかし、学校で行う「水泳」ならではの「学び合い」も効果的です。課題を見付け、課題を解決するために友達と協力しながら取り組むことは、水泳の学習としてとても意味のあるものです。児童のコミュニケーション能力を育むことにもつながり、意欲も向上します。

3 友達と見合う学習

 水泳は、自分の動きを見ることができません。2〜3人組で動きを見合い、アドバイスをし合うことで動きの改善を図ることができます。必要に応じて補助をしたり、励まし合ったりして学習することも大切です。泳力が同じ程度で構成するグループや泳力が違う程度(得意な子とそうでない子)で構成するグループなどグループの作り方は実態に応じて変えると効果的です。

4 水慣れの中で感覚や動きを育む

 水泳系の運動には、「浮力」「抵抗」「水圧」が発生します。「浮くこと」「進むこと」「呼吸すること」を短時間で繰り返して取り組むことでこれらの動きや感覚を育むことができます。それぞれの要素をもった簡単な運動を音楽などに合わせて行うと楽しく行うことができます。誰にでもできるような動きを行うことがポイントです。

5 ゲーム要素をもった運動

 「水泳」は、達成したり克服したりする楽しさの他に競争する楽しさがあります。この楽しさを味わうことができるような学習に取り組むことは意欲の向上にもつながります。発達の段階に応じて、「鬼ごっこ」「ねことねずみ」など(低学年)、「ビート板どんじゃんけん」「ばた足ずもう」など(中学年)、「ビート板リレー」など(高学年)に取り組みます。誰にでもできるような動きで楽しむことのできる簡単なルールでゲームを行うことがポイントです。

6 友達と一緒に遊びを楽しむ(低学年)

 低学年では、水の中で十分に遊ぶことが大切です。手をつないでもぐったり、もぐってじゃんけんをしたりする遊びを通して、もぐる・浮く動きに取り組むことができます。友達と一緒に水遊びに取り組み、工夫していていくことで「ああやってみたい」「こんなことをしてみたい」という思いをもち、進んで水遊びに取り組むようになります。

7 友達と一緒に「浮きながら、進む」運動に取り組み、自分の課題をもつ(中学年)

 中学年では、「浮く」「進む」「呼吸する」といった動きに取り組み、それらを組み合わせて「泳ぐ」ようにしていきます。「クロール」「平泳ぎ」といった泳法にこだわるのではなく、「ばた足およぎ」「面かぶりクロール」、「かえる足泳ぎ」「面かぶり平泳ぎ」といった運動に取り組むことによって、どうしたらよいのか考え、自分の課題を設定することが大切です。課題を設定して取り組み、友達に見てもらうことが意欲の向上につながります。

8 自分の課題を設定して、友達と協力しながら解決を図る学習(高学年)

 高学年では、自分の課題を設定して、2〜3人組で解決を図る学習を行うと意欲の向上を図ることができます。先述のように、水泳は「マイスタート・マイゴール」の運動です。
 それぞれの課題を自分で設定して、友達と協力して解決を図ることは個に応じた学習になります。友達と見合いながら改善を図っていくことが大切です。

9 補助具・用具の活用

 水泳では、陸上の運動とは違う動きや感覚を味わうことができます。それらが楽しさであるとともに水への恐怖にもなります。それらの不安をなくすためにも「ビート板」や「ヘルパー」といった補助具はとても有効です。安心して取り組むことで、「浮く」「進む」「呼吸する」といった動きの楽しさを味わうことができます。低学年では、「輪」や「ペットボトル」「石(宝さがし)」など遊びを広げる用具、中学年では「ビート板」や「ヘルパー」といった安心して取り組める用具、高学年ではそれらに加えて「プルブイ」や「パドル」といった課題解決しやすくする用具が有効です。
 購入が難しい場合は、ホースを切ったものやペットボトルなどの日用品で利用することもできます。

10 安全な学習

 水泳では、一に安全、二に安全です。しかし毎年残念なことに水泳指導中の事故が起きています。楽しく行う水泳の授業も、事故があったら楽しく取り組めません。複数の教師で指導にあたる、無理な活動を行わない、適宜安全確認を行う、施設の安全といったことを意識しながら取り組み、水泳事故の防止に努めていきましょう。

北川 修司きたがわ たけし

東京都公立小学校教諭 埼玉大学教育学部卒 埼玉県生まれ
東京都小学校体育研究会 水泳系領域部 部長

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