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1 「書くこと」が苦手な我が子
最近、読み書きに障害のある「ディスレクシア」という障害が少しずつ認知されつつあります。そして「ディスレクシア」と診断されなくても、「書くこと」が苦手な子は多くいるように思います。
私の息子もそうでした。読解力に問題はありませんでしたが、「書くこと」が苦手だったのです。とにかく書くことを嫌がり書くスピードも極端に遅く、漢字を一行書く宿題を行うことが大変でした。また、マスの中に文字をきちんと収めたり、行を意識して書いたりすることも苦手で、ノートをうまく書くことができませんでした。文章を書き写す際も、一文字ずつ書き写したりしていました。
しかし、小学生の間に保護者として様々なサポートを行うことで、息子がは高学年になるころには、一人で作文ができるようになるほど「書ける」ようになってきました。本記事では、息子が「書ける」ようになるまでに、家庭で行ってきたサポート法を紹介します。
2 我が子が「書ける」ようになった、家庭でのサポート
(1)漢字は成り立ちや構造をまず教え、見て聞いて覚えさせる
家庭で漢字を学習する際、一番気をつけたのは「成り立ちを教えること」です。同時に文字そのものの意味をきちんと教えました。慣れてくると、漢字の成り立ちの本を自分で読んで覚えていきました。また、たくさん書かせることはしませんでした。成り立ちや意味や使われ方を教えた後は、文字を目で見て覚えさせ、例えば「科」ならば「のぎ(へん)、てんてん、じゅう、点は縦に並べる」のように漢字の組成を口頭で説明し、耳から覚えさせました。要するに「書いて覚える」のではなく、理解してから、見て聞いて覚えていく方法で覚えていったのです。
(2)鉛筆で書くことにこだわらない
一般的に、学校では鉛筆を使用しなければなりません。しかし、息子は鉛筆よりもシャープペンシルの方がずっと上手に書くことができました。色々なシャープペンシルを試した結果、芯の太さが0.9oのシャープペンシルが一番書きやすいと分かりました。濃さはBです。鉛筆とシャープペンシルがどう違うかというと、シャープペンシルは削る必要がなく、先が丸くならないという点が違います。また、鉛筆だと持つ部分が若干細いようで、少し太めのシャープペンシルの方が持ちやすそうでした。
また、実は一番書きやすいのはフリクション(こすって文字を消すことのできるペン)でした。インクがすっと出るところが書きやすいようです。今でも自宅での勉強はフリクションを使って行っています。
このように、鉛筆で書くことにこだわらず、本人にとって最も書きやすい筆記具を使わせることで、書くことへのハードルが次第に下がっていきました。
(3)「書きはじめの場所」の指示、話してから書くということ
算数は、ページ数、問題の番号をまずわたしが書き、その空白部分に問題を解かせていきました。計算式もノートの中央から書き始めたりするので、印をつけて「書き始めの場所」を分かりやすくしました。他の教科についても同様のことが言えます。「書き始めの場所」に印をつけると分かりやすいようです。
「書くことが苦手」というのは、「目で見たものを書き写すのが苦手」ということでもあると思います。私の息子の場合は、耳から聞いたことの方が書きやすいようでした。例えば、作文を清書する場合、書くべきことを区切って読んであげると、うまく書くことができました。文章を要約する学習のときも同様です。
学校で板書をする際、手が止まってしまう子がいたら、「書き始め」の箇所をノートに明確に示し、さらに書くべきことを適切なかたまりに分け、声に出して読んであげると書けるようになることもあるのではないかと思います。
3 固定観念にとらわれずに
「書くこと」が苦手だった息子は、小学生の間に「書ける」ようになりました。もちろん、美しく見本となるようなノートが書けるわけではありません。それでも一人で作文が書けるようになったり、ノートが書けるようになったりしたことは、彼の自信となったと思います。
学校には様々なきまりがあり、かつ今まで行ってきた授業の在り方もあると思います。しかし、これまでの固定観念にとらわれずに、上記のようなサポートを学校でも行っていただけたら、「書くこと」への苦手意識が減っていくのではないでしょうか。目の悪い子が眼鏡をかけるように、「書くこと」が苦手な子が、例えばタブレットを使わせるとはいかないまでも、鉛筆ではなくその子が書きやすい筆記具を使えるような環境になれば、苦手意識を克服する一つのきっかけになると思います。