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1.1人1台の端末を持って学習をする「GIGAスクール構想」がはじまります
GIGA(ギガ)スクール構想とは政府が2019年12月に打ち出した政策で、すべての児童生徒に1人1台のコンピュータと学校に超高速なネットワークを整備するものです。約4610億円という莫大な補正予算で整備されます。
子供たちの未来のための税金を決して無駄にしないために、各自治体教育委員会で万全な計画が進められ、学校の先生方は研修を受け、懸命に準備や活用を進めています。
2.日本はICT化後進国
ところで、日本で生活をしていると、ほとんどの人がスマートフォンを持ち、それが生活に溶け込み、デジタル化が進んでいるように見えます。しかし、海外と比較すると日本はデジタル化後進国で、先進国の中では最も進んでいません。海外では子供たちが1人ずつコンピュータを使って授業をすることは「ごく当たり前」で日常です。この影響は、学力の国際比較にも影響が出ています。特に、日本はコンピュータを使って情報を読解する力が低下しています。
OECDとは経済協力開発機構ですから、子供たちの今・未来の仕事で必要な力を測定しています。つまり、将来の日本の地域経済の姿を示していると言っても過言ではありません。
3.読解力の低下と情報を活用する力の関係
なぜ、読解力が低下しているか。それはコンピュータを活用してインターネットからの情報を検索する、というような学習が少なく、教科書のみを活用した学習が多かったことが要因だと考えられます。
日本の教科書は、子供たちの学力を一定に保つ意味で非常に優れたものです。教科書は教科書会社のチェックと文部科学省による教科書検定によって発行されます。このことも制度を保つための優れたシステムです。
しかし、教科書だけで授業をしていては、情報を批判的に読み解く、という学習には発展しづらいように思います。
4.情報を批判的に読み解く姿勢や態度を身につける
私たちはインターネットから日々情報を取得して、生活の役に立てています。しかし、時には情報をミスリードしてしまうこともありますし、ほしい情報をなかなか検索できなかったりします。生活の中では常にこのような出来事が起きており、情報を読解する力も仕事や生活をする上では重要な力となっています。
1人1台の情報端末を常に持ち、学習に活用するということは、自然に情報を検索することも増えますし、検索した情報が目的に合ったものなのか、本当に信頼できるウェブサイトから検索してきたか、というような検討をする学習も取り組まれていくことでしょう。つまり、1人1台の情報端末を持って学習をするということは、単に先生が成績を管理しやすい、コンピュータでドリル学習に取り組む、というようなことだけではなく、情報社会で生きていく技やスキルも同時に身につけていく、ということになります。
そして、このことが現在の日本においては喫緊の課題だということです。保護者の皆様が家庭でできることは、子供たちがインターネットから検索してきた情報で学習する場面を見かけたら「そのサイトってどんな人がつくったんだろう?」「他のサイトでも同じ情報を確認できるかな?」というような問いかけをしていただくといいでしょう。問いかけられるたびに子供たちは情報を批判的に読もうという姿勢や態度が形成されていくはずです。
5.コンピュータを学びの道具にしていくために
コンピュータは道具です。道具が入ったところで急に子供の能力が変わることはありません。ですから、コンピュータを使った学習への態度や姿勢は「これまでが問われる」ことにもなります。学習習慣が身についている子供は、すぐにコンピュータでの学習に取り組めるようになるはずです。しかし、習慣化していなければ、遊ぶか使わないかのどちらかになってしまいます。コンピュータは、今までの生活習慣や学びへの姿勢を強く映し出すことでしょう。
6.「今まで通り」、子供を見守っていく
情報社会と言われ始め30年が経過します。しかし、これまで子供たちにコンピュータを持たせた学習をさせてきませんでした。すなわち、情報社会の練習と失敗をさせてこなかったということになります。だから、子供たちは急に情報社会の本番を迎え、そして失敗を重ねてきました。そのことが我々大人の懸念を大きくしています。
健康面や「本当に勉強に使うのだろうか」という懸念もあることでしょう。使ってこなかったコンピュータですから、間違いなく多くの失敗をします。
コンピュータのことがよく分からなくても、コンピュータがあろうとなかろうと、良い方法で活用していたら褒め、望ましくない使い方をしていたら叱ります。
これまでも、例え大人がよく分からないことであっても、良識の範囲は理解できたはずです。
学校と家庭で協力し、子供たちの使い方を見守り、価値付け、正しい道へと導いてあげてほしいと願っています。