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コロナ禍2年目となり、子どもたちのマスクの常時着用への抵抗感が、少なくなってきた令和3年度。全国の学校では、すべての教育活動について、文部科学省が示す「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」に基づき、対応の見直しを継続されていることでしょう。その中で、コロナ禍の熱中症対策も2年目となります。
熱中症の予防は、本校でも取組を進めてきましたが、単なる予防対策だけでなく、取組を通して子どもの「生きる力の育成」にもつなげていきたいと願い、子どもたちの「状況や課題を捉え、知識や経験を活用し、自ら判断し、行動できる力」の育みをめざしています。
暑さ指数等を目安に取り組む
本校の熱中症対策は、5月から始まります。
職員会議を通して、「熱中症予防運動指針」に基づく予防対策と緊急時対応マニュアルを確認します。昨年からは、新型コロナウイルス感染症の予防も加え、「マスクを外す場面や状況」と「外す際の留意事項」も確認しました。
気温上昇が予報される日は、地域の熱中症警報アラートと暑さ指数(WBGT)を参考に、体育や屋外活動の内容検討を行います。特に、暑さ指数は、時間帯や場所によって大きく異なるので、授業者は、それぞれの活動場所(校庭、体育館、プールサイド等)に測定器を持参し、活動中は継続計測に設定します。暑さ指数の結果に併せて、活動量の調整や活動中止、水分補給の指示の間隔の判断を行っています。
併せて、保護者の協力により、子どもたちは、家庭から水分補給用に水筒を持参しています。各学級専用のコンテナに入れ、屋外活動時にも活動場所近くにコンテナごとこの水筒を持参します。水道の少ない校庭でも、効率的にこまめな水分補給ができています。
発汗が多い活動では、指導教職員が、水分補給の指示を「水分補給してもよい」ではなく、「全員、一口、水分補給します」と具体的に指示をしています。低学年からのこの指導の積み重ねにより、熱中症予防の時期になると、子どもたちは、体育の授業にとどまらず休み時間や屋外活動の前にも、「一口の水分補給」を積極的に行っています。
子どもたちが、自らの問題として取り組む
このような教職員の取組だけでなく、児童会の保健委員会の活動も本校の熱中症予防の大きな役割を担うようになりました。
夏日が続く季節になると、養護教諭は、環境省熱中症予防情報サイトを参考に、その日の暑さ指数の予報を児童玄関前に掲示します。この表示が「警戒」になると保健委員会の子どもたちは、休み時間になると暑さ指数測定器を校庭に持ち出し、測定を行います。事前に測定方法を繰り返し練習しているので、正確な測定ができています。測定が終わると暑さ指数の結果より、校内放送で「水分補給のおすすめ」や「屋内での遊びのおすすめ」等をお知らせします。以前は、教職員が測定し、子どもたちに対応の指示を行っていましたが、保健委員会の話し合いで「自分たちでできること」を考えた際に、「暑さ指数を測定してみたい」と希望が出され、この活動が始まりました。
現在では、保健委員会の子どもが校庭で暑さ指数の測定を始めると、低学年の子どもたちも「今いくつ?外で遊んでもいい?」と結果に関心を示す姿も見られ、子どもたちの自治的活動に高まっています。
コロナ禍でも、取組の充実を目指して
このような多様な対策を進めていながらも、今年度も熱中症予防の不安は尽きません。コロナ禍の外出自粛で、子どもたちが屋外で活動する機会が少なくなっていることの影響があるからです。初夏を迎え、気温が上昇する中での活動を通して、子どもたちは発汗が活発になり、少しずつ暑さに慣れ、熱中症になりにくい体の仕組みを高めていきます。屋外に出る機会が少なくなる今だからこそ、感染症予防を十分行いながら、学校で適切に運動量を確保することは、体力向上にも加えて重要になります。
また、マスクを長時間着用しているためのどの渇きを感じにくくなったり、水分補給のたびにマスクを外すことが億劫になったりして、自主的な水分補給が進まなくなることも心配しています。この不安を解消するには、子どもたちと保護者と学校が、この課題を共通理解しともに取り組んでいく必要があると思います。
「自らの問題として捉え、自らできる取組を進める」この原則に戻り、今年度も本校では、熱中症対策を見直し、安全で安心な学校生活の実現を進めていきます。