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ゴール型ゲームとして、サッカーを教材に選択。授業では基本練習をしっかりとやった後、ルールを確認してゲームを行うという流れ。しかし、一部の男子のみが大活躍し、女子は自陣のゴール前に棒立ちしているだけの「置物」状態。満足差が大きいまま、授業が終了してしまいました。
授業でのこんな失敗ありませんか?
今回は、運動経験等によって子どもの技能差や運動量の差が大きくなりがちなゴール型ゲームの指導のポイントをテーマにとりあげました。
ポイント1誰でも楽しめる、技能差をなくす教材を選ぶ
ゴール型ゲームの学習をする際に陥りがちな失敗例を挙げます。
- ゲームを楽しむ前の技能習得に時間をかけすぎる
- 技能が低く、ゲームの楽しさを味わえない
- 技能の高い子ども数人がやりたい放題楽しむだけになる
つまり「ゲームを通して技能を身に付け、技能差に関わらず仲間と協力し合って全員がゲームを楽しめる」のが理想です。
ゴール型ゲームの代表は、サッカーとバスケットボールですが、実は他にも様々なものがあります。
その中でも特におすすめなのが「アルティメット」という教材です。
![図1](/db/eduzine/pe4class/20170115_1.jpg)
ボールの代わりにディスクを使います。
いわゆる、「フリスビー」です。
得点方法はラグビーに似ていて、ゴールエリア内でキャッチすれば得点です。
ただし、ドリブルや歩くことはできず、パスのみ。
接触プレーも一切ありません。
この教材では、「パス」と「キャッチ」しかないので、技能差が生じにくく、全員でゲームを楽しめます。
アルティメットに限らず、こういった視点で教材選択そのものを見直すことも大切です。
ポイント2何はおいても、まずはゲームから!
あなたが子どもだったら、ゴール型ゲームの授業の際、何が一番したいですか?
技能練習?ルールの検討?作戦会議?
これは当然、ゲームです。
すべてはゲームをするための技能、ルール、作戦だからです。
まず、ゲームをしてしまいましょう。
最低限教えることは、技能では「ディスクの投げ方」、ルールでは「得点方法」「ディスクを持ったら歩いてはいけない」「接触禁止」ぐらいにして、「安心・安全」を確保すれば大丈夫です。
それから先のことは、ゲームをしながら必要に応じて段々と決めていきます。
「はじめにゲームありき」です。
ルールは、そこに応じて柔軟に決めていきましょう。
ポイント3技能に応じてルールを段階的に変化させる
単元の中で、必要に応じてルールを工夫して変化できるようにします。
技能差に応じてみんなが楽しめるルールを協同的に考えられることが大切です。
例えば、私の学級では次のような順に、段々とルールが追加されました。
- コートから出るか地面についたら相手の攻撃へ
- ゴールエリア内に守備側は進入不可(ライン上はOK)
- ディスクを持っている人に触れたらファウル(投げられないため)
- ディスクの手渡しは不可(3と併せてこれを認めると逆に防げないため)
これらのルールは、ゲームを通して必要に応じてできたものです。最初からルールありきではなく、「ルールはみんながよりゲームを楽しむために作る」という共通理解をすることが成功のコツです。
ポイント4用具を工夫する
用具の選択は、重要です。例えば「どんなディスクを使うか」ということは、求める動きと連動しています。
![図2](/db/eduzine/pe4class/20170115_2.jpg)
例えば写真左の小さいディスクは、速く飛びますが、滞空時間が短いです。
そのため、ゲーム展開がスピーディーになりやすく、同時にキャッチそのものが難しくなります。
中央のディスクは滞空時間が長く、キャッチの地点まで動きやすいのが特徴です。
ディスク速度もゆっくりなので、落ち着いた展開ができます。初期のきちんとつなぐ学習をするにはこちらが最適です。
右のディスクはウレタンフォーム製で、重くてよく跳びますが、すぐ落下します。
ただ空気抵抗をあまり受けないため、風の強い日には重宝します。
技能や状況に応じてディスクを選択することで、特定の子どもによるロングパスの投げ合いのような、雑なゲーム展開を防げます。
どのディスクを用いて、どれぐらいのコートの広さにするかも、子どもの実態とねらいに応じて柔軟に決めていきましょう。
今月の格言
何はともあれ、まずゲーム。
技能もルールもゲームを通して変化させる。